働き方改革の目標は生産性向上。生産性を上げる方法を紹介

2020/03/16 働き方改革

働き方改革には、時間外労働の規制や有給取得の義務について盛り込まれています。

そのため、企業としては労働時間を削減する代わりに、生産性を向上させる必要があるのです。企業が生産性を上げるための方法をご紹介します。

働き方改革で生産性を向上しよう

働き方改革で生産性を向上しよう
働き方改革では、時間外労働の上限規制や有給の取得、またフレックス制の推奨といった、社員が働く上で長時間労働になりにくい制度が盛り込まれています。

対応するために企業が求められているのは生産性の向上です。まずは「生産性」という言葉の定義について詳しく知っておきましょう。

生産性向上とはどんな状態を目指すこと?

「公益財団法人日本生産性本部」によれば、生産性の代表的な定義は「生産諸要素の有効利用の度合いである」としています。簡単に言えば、投入した物資や人に対し、どれだけの成果が得られたのかという割合です。

日本は先進国の中で、特に労働時間に対する生産性が低いと言われています。

企業における生産性の向上とは、労働時間に対する成果を増やすための土台作りであると言ってもいいでしょう。

生産性向上の目的

現状の日本は、少子高齢化の影響もあって徐々に労働人口が下がってきている状態にあります。また、働き方改革によって1人当たりの労働時間そのものを、短縮していかなければなりません。

この2つの課題をクリアするためには、1人が時間当たりに生み出す成果を挙げていかなければならないのです。また生産性が上がればコストダウンにつながり、企業利益も増え、それを給与や福利厚生という形で社員に還元できます。

生産性に影響する要素

生産性に大きく影響する要素を大まかに分けると「人」と「時間」です。どういうことか詳しく解説します。

「人」の中にさらに含まれる要素は、個人が持つスキルとモチベーションです。業務に関連した技術を持った社員がいれば作業速度の上昇、より高度な成果物の作成が期待できるでしょう。モチベーションが高ければ作業効率も向上します。

そして「時間」です。日々の業務の中にある無駄な作業の削減や、適切な人材配置、コミュニケーションの円滑化など、時間を効率的に使うことで、生産性を向上させることができるでしょう。

生産性向上=業務効率化ではない

生産性向上=業務効率化ではない
働き方改革を推進する上で注意すべき点は、生産性の向上と業務効率はイコールではないということです。どういうことなのか解説します。

単純に業務効率化を目指すわけではない

業務効率化の1つに「無駄なタスクの削除」があります。これに準じて会議室での直接会議をやめ、Web会議に切り替えたとしましょう。ログとしても残りますし、動画や画像を参加者が共有できることからも効率的と言えます。

しかし、この時点では特に成果物が増えたわけではありません。生産性の向上は「業務を効率化したことで余分となったコストを何に使うか」で決まるからです。

生産性の向上を考えるときは、業務効率化とは別に精査しなくてはなりません。

選択と集中が不可欠

イタリアの経済学者の発見した統計に関する法則に「パレートの法則」があります。これは、全体の数値の大部分は一部の要素が生み出しているという理論のことです。

例えば、ホームページを管理する業務上で、豊富なページを用意したものの訪問者の8割が特定のページを閲覧し、その他のページはあまりアクセスがされないという状況があるとします。

生産性向上のための判断は、訪問者が訪れる特定のページに力を注ぐことです。これはその他の業務でも同じことが言えるでしょう。

何の業務を選択して集中的に行うかも、生産性向上の要素です。

生産性を上げる方法

生産性を上げる方法
それでは具体的に生産性を向上させる方法について解説していきます。

業務の標準化と可視化

業務の標準化とは、自由にさせれば多様化してしまう業務を、単純化・秩序化することです。マニュアル化と言い換えても良いでしょう。

製造業において、製品の組み立て手順が標準化されていれば、無駄な作業や迷う時間がなくなります。新人教育も楽です。しかし、ただ上層部がマニュアルを配っただけでは、作業者は意味を理解せずに作業に従事することになります。

そこでもう一つのポイントが「可視化」です。商品製造で一部の過程を担当させる作業者に、全体像や作っている商品など、多くの情報を共有できる環境を作り出します。

作業者が自身の作業の意味を理解して、モチベーションのアップやさらなる効率化につなげることができるようになるでしょう。

ITツールの導入で無駄な仕事を減らす

サービスの問い合わせに対する自動対応や、データの入力など、現在のITツールではさまざまなことが自動化が可能です。

手動でやっている業務を自動化すれば、その他の作業へ割ける時間が相対的に多くなるでしょう。ITツールを使い、無駄な仕事の削減や自動化を行うことで生産性を向上させることができます。

労働の質を上げる

方法は2つあります。1つは「技術者・熟練者の確保」で、もう1つは「作業を誰でもできるレベルに落とし込むこと」です。

技術者や熟練者は自社で育成することもできますが、労働環境の改善によって、できるだけ長く働いてもらうことも重要になります。技術に応じた給与体系を、すでに取り入れている企業も多くあるのです。

また、フローチャートの作成や情報共有によって、技術を要する仕事を、初見の人間でもできるようにするといった行程も重要でしょう。教育期間が短くなりますし、作業者ができる作業範囲も増えます。

まとめ

働き方改革には労働時間の削減が盛り込まれている点からも、労働の質そのものを上げていくことが企業に求められています。

そのために重要なのは生産性の向上です。ITツールの導入や業務の標準化・可視化によって、現状の作業の質をあげていくことを試みましょう。

また、技術者の確保や、作業者のモチベーションの向上も、生産性向上には必要なことです。生産性を向上させるために何をすべきかを、自社の課題と照らし合わせて検討していく必要があります。