インボイス制度は企業に影響する?インボイス制度が企業に与える影響

2023/03/28 働き方改革

企業リスク診断

2023年10月からインボイス制度が開始されます。このインボイス制度についてネガティブな声も多いことから、企業にはどのような影響を与えるのか、気になる方も多いでしょう。

この記事では、インボイス制度による企業への影響について解説します。

2023年10月から開始の「インボイス制度」

「インボイス制度」

インボイス制度とは、適格請求書等保存方式のことです。一定の要件を満たした適格請求書を用いて消費税の仕入税額控除を計算し、証拠資料として保存する制度です。

このインボイス制度は2023年の10月から開始されます。

適格請求書とはどのような書類なのか?

適格請求書とは、売り手が買い手に対して適用税率や消費税額などを正確に伝えるために作成される請求書を指します。

これまでは、仕入先が発行した請求書であれば仕入税額控除を受けられていましたが、インボイス制度が導入されると適格請求書を利用して仕入税額控除の申請を行います。

インボイス制度の対象者は「課税事業者」

このインボイス制度の対象者は、課税事業者のみです。課税事業者間で取引を行う際に、インボイス制度が適用されます。なお、免税事業者の場合は対象外となるため、インボイス制度導入の準備や適格請求書の発行対応は不要です。

インボイス制度を利用したい課税事業者は適格請求書発行事業者の申請を行う

インボイス制度の対象となる課税事業者は、申請を行い、適格請求書発行事業者へとして登録番号を発行します。この登録番号が適格請求書を発行する際に必要になります。

なお、申請については強制ではなく任意となります。

インボイス制度は企業に影響する?

インボイス制度は企業に影響する?

インボイス制度の開始により企業には、どのような影響があるのでしょうか。ここでは、インボイス制度の対象である課税事業者への影響について解説します。

免税業者との取引は適用外となるため注意が必要

免税業者は、インボイス制度の対象者ではありません。そのため、課税事業者が免税業者と取引を行う際、仕入税額控除ができなくなります。その影響から、免税業者から商品などを仕入れている課税事業者は、利益率が落ちることも考えられるでしょう。

運用コストがかかる

インボイス制度に対応した受発注システムや、請求書管理システムを導入する必要があります。すでに対応している場合は大丈夫ですが、バージョンアップが必要であったり新たなシステムを導入したりする場合はコストがかかる場合もあります。

業務の負担が増えることも

インボイス制度では、従来の請求書などの書式にはなかった項目を追加しなければなりません。こうした書式や計算方法の変更に対応する必要があるため、はじめのうちは業務負担が増えることも。

大きな影響が考えられるのは「免税業者」や「飲食業界」

インボイス制度の導入により、最も大きな影響があるといわれているのが飲食店や、フリーランス・個人事業主などの免税業者とされる方です。免税事業者は、インボイス制度の対象者ではないため、適格請求書を発行することができません。インボイス制度導入に向けて準備をする必要がないため、問題ないように感じます。

しかし、仕入税額控除が受けられないことや適格請求書を発行できないことが、今後デメリットとなり大きな影響を与えると考えられています。

今までは、請求書がなくても支払先の名称や請求書がない理由を帳簿に記載することで仕入税額控除が受けることができました。今後、インボイスが導入されると、それが不可能になります。仕入税額控除を受けたい課税事業者であれば、取引をためらう可能性が出てきてしまいます。

飲食業界にはどのような影響する?

飲食業界の中でも、特に接待で使われるような飲食店は注意が必要です。

会社の接待で利用する場合、インボイスを発行する必要が出てくる可能性があるからです。お客様が仕入税額控除を受けるためにインボイスとして保存することが考えられるため、飲食店でもインボイスへの対応が必要だといわれています。そのため、インボイス制度に対応していないと、利用者が減る恐れがあります。

インボイス制度開始後は、合計金額だけが書かれた領収書は認められていないため、インボイス制度に対応したレジ(軽減税率対応レシート)への導入が必要です。

また、飲食の場合、テイクアウトと店内利用の税率が異なるため、税務処理が複雑化してしまうことも考えられるでしょう。

課税事業者であっても、仕入先が免税業者の場合は仕入税額控除を受けられず、仕入れコストがかかることも懸念されます。

フリーランスや個人事業主に与える影響

売り手となるフリーランスや個人事業主の場合は、免税事業者であることが多いため、対応が難しくなるという懸念があります。

取引先が仕入税額控除を受けるために、取引を適格請求書が発行できる課税事業者に切り替える可能性や取引条件の変更を持ちかけられる可能性もあります。導入前に、取引先である課税事業者との話し合いが必要になることもあるでしょう。

免税業者はインボイス制度にどう対応する?

免税業者はインボイス制度にどう対応する?

インボイスへの対応ができないと、課税事業者からの依頼がなくなるのではないかと心配になる方もいらっしゃるでしょう。免税業者の中には、何か対策を行いたいと考える方もいるはずです。では、このインボイス制度に対してどのように対応したら良いのでしょうか。

課税事業者になることを検討する

課税事業者となり、適格請求書発行事業者の登録をする手段もあります。一度、課税事業者になることで、一定期間免税業者になることはできません。消費税分の経費や経理面での業務負担がかかります。

インボイス制度の対象となれるメリットもありますが、納税義務が発生するため、この先の利益などを考慮して課税事業者への変更も検討しましょう。

簡易課税制度を選択して適格請求書発行事業者になる

簡易課税制度を利用していても、適格請求書発行事業者の登録申請を行えます。

簡易課税制度とは、売上にかかる消費税額を計算する際に、事業の種類区分に応じて定められた「みなし仕入率」を適用して仕入控除税額を算出することができる制度のこと。この制度は、中小企業の負担を軽減するために作られた制度です。

簡易課税制度を利用するには、基準期間の課税売上高が5,000万以下であることや事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していることが条件となります。

インボイス制度導入による経過措置もある

簡易課税制度を利用する場合、消費税課税事業者選択届出書を提出し、一度課税事業者になる必要があります。

ただし、インボイス制度導入の経過措置により、2023年10月1日~2029年9月30日までに、適格請求書発行事業者の登録申請を行った免税事業者は、課税事業者となるための届出を省略できます。

この特例によりインボイス制度が導入されるときには、課税事業者になることが可能です。

また、特例を利用して課税事業者になった場合、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受けることが記載された「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すると、課税期間の初日の前日に消費税簡易課税制度選択届出書を提出したものとみなされます。

例えば、インボイス制度が開始される2023年10月1日から課税事業者として登録する場合、2023年12月31日までに2023年度から適用する旨を記載した消費税簡易課税制度選択届出書を提出すると、2023年度の申告においてから簡易課税制度の適用を受けられます。

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まとめ

今回は、インボイス制度により企業にどのような影響があるのかを解説しました。

インボイス制度対応のためにコストがかかったり、業務が複雑になり負担になったりしますが、今まで通り仕入税額控除を受けるには大切な制度です。

また、電子インボイスによる請求書等処理業務の効率化といったメリットもあります。

売り手にとっては、厳しい制度ではありますが、新しい取引先を探すチャンスにもなるでしょう。状況によっては、課税事業者になる手もあります。

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