2023年10月から開始のインボイス制度とは?制度導入前に企業がやるべきこと

2023/03/24 働き方改革

2023年の10月からインボイス制度が開始されます。このインボイス制度は、ネガティブな意見も多いことから、どのような制度なのか気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事ではインボイス制度について解説。制度導入前に企業がやっておくべきこともおさらいしましょう。

インボイス制度とは?わかりやすく解説!

インボイス制度とは

インボイス制度とは、適格請求書等保存方式という意味です。要件が満たされた適格請求書(インボイス)を発行または保存を行うことで、消費税の仕入控除を受けることができます。

【売り手】
買い手から、インボイスの発行を求められたとき、交付します。交付だけではなく、交付したインボイスの写しの保存も行わなければなりません。

【買い手】
買い手が仕入税額控除を受けるには、原則取引相手である登録事業者(売り手)から交付を受けた適格請求書の保存が必要です。

仕入税額控除について

消費税の納付税額は、自社の売上時の消費税額(売上税額)から自社が仕入れ時などにかかった際の消費税額を差し引いて、差分を納税します。この仕組みを「仕入税額控除」といいます。

適格請求書について

適格請求書とは、「区分記載請求書」にインボイス制度の登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税等の額を追加した請求書のことです。

インボイス制度の開始日や対象者

インボイス制度の開始日や対象者

インボイス制度はいつから開始なのか、また誰が対象となるでしょうか。ここでは、開始日と対象者、インボイス制度の登録申請について解説します。

制度の開始日

インボイス制度は、2023年10月1日から開始されます。

インボイス制度の対象者

インボイス制度は「課税事業者」が対象となります。免税業者の場合は、免除されます。例えば、課税事業者が免税事業者と取引する場合は、インボイスの発行は不要です。インボイスが発行できないので、仕入税額控除が受けられません。

インボイス制度に対応するには「適格請求書発行業者」の登録を行う

適格請求書の発行は、適格請求書発行業者のみができます。この適格請求書発行業者となるには、税務署に登録申請を行わなければなりません。

インボイス制度の導入の背景

インボイス制度導入の目的は、取引の正確な消費税額と消費税率を把握するためです。

2019年に、軽減税率制度が導入され、10%と軽減税率の8%の2つの税率が存在します。インボイス制度で必要な「適格請求書」は、商品ごとの消費税率とそれぞれの消費税額が記載されるため、消費税率額を正しく把握することができます。

現在の請求書では、仕入税額控除を計算する際、消費税の不正や計算ミスへの対策が困難です。商品ごとの消費税率とそれぞれの消費税額の記載が義務となるため、不正や計算ミスの対策となるのです。

インボイス制度のメリットとは

インボイス制度を導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、制度導入後に得られるメリットについて解説します。

インボイス制度が開始された後も取引が継続に期待できる

インボイス制度が開始されると、適格請求書発行事業者が発行した適格請求書がなければ仕入税額控除が受けられません。そのため、取引には適格請求書発行事業者であるかで判断材料になる可能性があるのです。

電子インボイスを導入できる

インボイス制度では、電子インボイスでの送付や保管が可能です。電子インボイスは、規定統一されているため、取引先で違うシステムを使っていても請求情報を取り込むことができます。電子化することで、郵送や印刷のコストが削減できたり、保存場所を削除できたりといったメリットがあります。

なお、電子インボイスの保存は、電子帳簿保存法に則った方法によって行う必要があります。

インボイス制度のデメリット

インボイス制度の導入により、デメリットもあります。

経理関連業務が複雑になる

インボイス制度が導入されると、従来の請求書を利用することができません。新しい書式の請求書が必要となります。記載項目が増えるため、経理関連の業務が複雑になる可能性があります。写しを保存したり、適格請求書とそうでないものを分けたり、管理も必要です。経理担当者の業務が複雑になるといえるでしょう。

そのため、コストはかかりますがシステムを導入して、業務の効率化を図る必要があります。

控除額が減少する可能性がある

インボイス制度は、取引先が適格請求書発行事業者でないと、仕入税額控除を受けることができません。課税事業者であれば、問題ありませんが、免税事業者の場合は適格請求書の発行が不可能です。取引の相手によっては、仕入税額控除が受けられない場合があり、控除額が減少する可能性があります。

ただ、インボイス制度導入後の6年間は経過措置として、免税事業者との取引でも仕入税額相当額の一定割合を控除可能としています。導入開始後の3年間は80%、さらに3年間は50%の控除を受けることが可能です。

制度導入後も、一定期間控除は受けられますが、控除額が下がってしまう可能性があり注意しなければなりません。

企業が2023年10月までにやっておくべきこと

企業が2023年10月までにやっておくべきこと

2023年10月1日から開始されるインボイス制度ですが、企業はやっておくべきことがあるのでしょうか。ここでは、課税事業者と免税事業者に分けて解説します。

課税事業者がやっておくべきこと

まず、課税事業者は適格請求書発行ができるよう、インボイス制度の開始までに登録申請を行います。

なお、インボイス制度の開始とともに適格請求書発行業者になるには「原則2023年9月30日」までに申請が必要です。

※申請期限は、2023年3月30日から半年延長し、2023年9月30日までとなりました

免税事業者がやっておくべきこと

免税事業者は、適格請求書の発行ができないため、インボイス制度に関しての準備は不要です。

もし、適格請求書発行業者となり、適格請求書を発行したい場合は、所轄の税務署へ事前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者になる必要があります。

ただし、上述でも説明の通りインボイス制度は経過措置が取られていて、制度導入後から2029年9月30日までの6年間は、免税事業者からの仕入れであっても一定の割合で控除を受けることができます。

また、この間に適格請求書発行事業者の登録申請をした免税事業者は、課税事業者となるための消費税課税事業者選択届出書の提出を省略できます。

課税事業者になる場合、納税義務が発生するため、免税事業者はよく検討した上で届け出るようにしましょう。

登録の申請はまだ間に合う!

2023年10月のインボイス制度導入開始に合わせて適格請求書発行事業者になるには、2023年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。2023年4月時点でもまだ間に合うため、適格請求書発行事業者を希望する場合は、登録申請書を提出しましょう。

インボイス制度・電子帳簿保存法のおさらい&ツール紹介はこちらから【HYPER VOiCE】インボイス制度・電子帳簿保存法ポータル

まとめ

今回はインボイス制度についてご紹介しました。

インボイス制度とは、適格請求書等保存方式のことで、導入後は以下の対応が必要です。

  • 仕入税額控除を受けるには適格請求書の発行と保存が必要
  • 買い手から適格請求書の発行を求められたら交付し、写しを保存する

なお、この対象者は、課税事業者のみです。免税事業者がインボイス制度を利用する場合は、課税事業者になり対応する必要があります。