働き方改革の具体例を紹介。会社と個人双方が幸せになる改革が必要
2020/02/07 働き方改革働き方改革は内閣が推進してる重要政策の一つであり、日本企業が取り組まなければならない課題でもあります。
理想的な働き方改革を実現するためにどのような手段を講じれば良いか、具体例と共に見ていきましょう。
働き方改革とは
第3次安倍内閣の重要政策である「働き方改革」によって、多くの企業に業務改善が課せられています。まずは働き方改革の内容について知っておきましょう。
労働環境改善のための動き
働き方改革は、日本の労働環境を改善することを目的に作成された方針です。それを実現するために、働き方改革では次の三つを課題としています。
- 長時間労働の是正
- 非正規雇用と正規雇用の格差を埋める
- 労働人口不足の解消
これを実現するための方針や規則が、「働き方改革関連法」と呼ばれるものです。
働き方改革が必要な理由
なぜ今になって、日本の労働環境を整理する必要が出てきたのかというと、大きな要因は「少子高齢化」です。
このまま少子化が進んでいくと、日本の労働人口は2060年にはおよそ4418万人になると言われています。これは現在の労働人口の約半分です。
労働力が落ちれば経済が立ち行かなくなる可能性もあるでしょう。この問題解決のため労働者の環境を改善し、子供を産める環境と、女性や高齢者が働きに出られる環境を整えていくのが、働き方改革が打ち出された理由です。
個人の幸せにもつながる
働き方改革は、同時に個人の幸せにもつながるでしょう。
働き方改革の中には、有給休暇の取得義務や残業時間の規制が盛り込まれています。これによって、個人のプライベートの時間が確保しやすくなり、今までできなかった趣味や旅行にチャレンジしやすくなるのです。
また、家族や友人と過ごす時間も増えることから、個人が充実した時間を送ることができるようになり、消費が増えればそれが経済喚起にもつながっていきます。
働き方改革の目的
もちろん、現状の働き方のまま労働時間だけを削減してしまっては、単純に労働力の減少になってしまうでしょう。そこで働き方改革と向き合う上で、企業側は次のような課題のクリアが求められています。
生産性向上
まずは「生産性の向上」です。具体的に言えば、労働者一人あたりが、現状より効率よく仕事をすることが求められています。
今まで8時間かけて行っていた仕事が6時間でできるようになれば、長時間労働の問題も解消されるでしょう。
そのためには、システムの自動化や効率化、チームの連携をよりスムーズにするための環境を整えていかねばなりません。
ワーク・ライフ・バランスの実現
2013年、日本は国連から長時間労働について注意を受けています。それほどに、現状の日本の仕事と生活のバランスは仕事の方に偏っていると言えるでしょう。
「ワーク・ライフ・バランス」は、仕事と生活のバランスを整えることを目的とした施策です。
例えば、施策の一つに労働時間の精算期間を1カ月から3カ月に伸ばすことを打ち出しています。
今までの働き方では、その月に多く働いても、翌月の労働時間が少なければ欠勤などの扱いになっていました。この精算期間の延長により、プライベートが暇な月に多く働き、忙しい月は労働時間を減らすといった働き方の選択が可能になるのです。
働き方改革の具体例
働き方改革のために、各分野の企業がどのような取り組みを行っているのか、という具体例をご紹介します。
IT企業
「テレワーク」の促進に取り組んでいるIT企業は多くあります。
テレワークとは、働く場所を選ばない働き方のことです。自宅で働く在宅ワークをはじめ、会社に出勤しなくても働ける労働者を増やすことを試みています。
IT企業の業務であるソフトウェアの開発やWebデザインなどは、インターネットに接続している環境さえあれば住所は問いません。
働く場所を限定しないことで、通信時間の短縮や、家事をしながら仕事ができることから専業主婦や高齢者の労働を促す狙いもあります。
学校の教員
学校という現場は、労働時間管理が甘くなりがちです。生徒の部活動や委員会顧問、テストの作成なども含めて、非常に重いタスクを背負わされることがあります。
こういった環境を是正するために、学校だけでなく市町村の教育委員会も動いているのです。
業務時間の管理の是正や、授業内容についての教員同士での情報共有、保護者との連絡をしやすくするためのコミュニケーションツールなどを新たに導入する学校は多くあります。
時間やコミュニケーションが取れるようになれば、教師の指導力の向上も見込めるでしょう。さらには、教員の数を増やすことにつながっていくのです。
建設業
建設業界でもさまざまな業務改善が試みられていますが、その中でも代表的なものは「技術に見合った給与設計」でしょう。
建設業界の問題として、賃金が他業界より低いことが挙げられます。その是正する施策として、技術や能力に応じた評価や処遇を受けられるシステムについて、見直しが進んでいるのです。
これによって建設業界の労働人口を増やすだけでなく、積極的に技術力を高めようとする人も増えるでしょう。他にも、設計図やタスク管理のIT化、長時間労働の削減といった取り組みが行われています。
まとめ
働き方改革の目的は、労働と生活のバランスを整え、出生率の向上と消費の促進にあります。日本に生きる個人一人ひとりが時間に余裕を持ち、自分のプライベートと向き合うこともできるようになるでしょう。
業種や業態ごとにさまざまなアプローチがなされ、働き方改革は推進されています。現状より働きやすい環境の下地が整えられれば、日本の労働問題は解消されるのではないでしょうか。
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