完全テレワーク化のカギ!電子契約を導入しよう

2024/04/23 テレワーク

企業リスク診断

契約書の作成や確認、捺印などを行わなければならず、完全テレワーク化が難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、完全テレワーク化のカギともいえる「電子契約」についてご紹介します。

電子契約とは

電子契約とは
電子契約は、これまで紙面を用いて行われていた契約行為を電子文書で電子署名を行い、インターネットを通じて取り交わします。そして、電子文書を原本として保管しておく契約行為のことです。

日本では、ハンコや紙を使う文化が定着しています。そのため、契約は書面(紙)で行わなければならない、と思う方もいらっしゃるかもしれません。実は多くの契約類型で紙の契約書を作る必要はないのです。契約のほとんどは口頭の合意でも成立します。

とはいえ、口頭の場合、後々本当に契約が締結したのか、どのような内容で契約を締結したのかを証明することができません。そのため、契約を締結したことを目に見える証拠として残しているのが契約書です。その目的を果たすことができれば、契約書は紙ではなくても問題はありません。

電子契約の信用性はあるのか

紙面での契約書から脱出できない理由の1つとして、「実印」「直筆の署名」のほうが、信用性を感じられることが挙げられるでしょう。

電子データの場合、改ざんされてしまう恐れもあるため、不安要素でもあります。紙文書とどうようの法的効果を得るためには、完全性が求められます。

電子契約の完全性は「電子署名」と「タイムスタンプ」です。この2つが文書に記載されていることで、紙文書と同様の法的効果があるとされています。

タイムスタンプについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

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電子契約のメリット

電子契約のメリット
電子契約には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

コストの削除につながる

紙で契約書を作成する場合は、紙代や印刷代、印紙代、切手代などがかかります。電子文書で契約を取り交わす場合は、課税対象とはなりません。そのため、印紙税を大幅に削減できます。また、郵送で送る必要がないため、切手代も不要です。電子契約に切り替えることで、コストの削減につながります。

事務作業の効率化につながる

紙面の契約書の場合は、捺印したら郵送します。先方が受け取り押印して送り返すとなると、時間がかかります。一方で、電子契約の場合は、印刷や郵送は必要ありません。契約を即時または1日で締結させることが可能です。

また、契約内容を確認したいときに、保管場所から契約書を探すこともあるでしょう。紙の場合は契約書を保管場所から探すのも大変です。電子文書の場合は、検索機能を使うことですぐに見つけ出すことができます。

コンプライアンスの強化につながる

契約のため、書面を社員が持ち歩くこともあるでしょう。進捗状況や誰がどの書類をもっているのか、紙の場合は判断しにくい部分があります。電子契約の場合、誰がどの契約書を編集作業しているのか、締結しているのか、進捗状況などを確認することができます。システムによっては、誰が閲覧したのかも確認することが可能です。

また、災害や人為的な要因による契約書の紛失(消失)リスクへの対応にも期待できます。電子契約の場合、原本もコピーも重要性に違いはありません。コピーでも電子署名などの機能によって文書の正当性を担保できます。もし、災害などによりデータが消滅してしまっても遠隔地のバックアップからコピーデータを復旧できれば問題ありません。

省スペース化につながる

紙の契約書の場合は、保管場所を確保する必要があります。量が多ければ多いほど、その分スペースが必要ですし、収納も契約日時によって分けるなど管理が大変です。

電子文書の場合は、クラウドや社内サーバーに保存するため、スペースを必要としません。オフィスの省スペース化につながります。

テレワーク導入をスムーズに行える

テレワーク時にネックになるのが、紙の契約書の作成や郵送作業ではないでしょうか。

自社では郵送作業の対応ができても、先方がテレワークで契約書へのサインがなかなか進まない……ということもあったかもしれません。テレワークしているけど契約書のために「誰かが出社しなければならない」そんな状況もあったのではないでしょうか。

紙面の契約書であるがゆえ、テレワークの際は障害になっていた部分があると思います。テレワークが普及している今、電子契約に向けて準備することが必要だといえるでしょう。

電子契約にはデメリットはあるの?

電子契約のデメリット
電子契約には、経費の削減や業務(契約までの手順)が短縮されるなどさまざまなメリットがあります。しかし、便利ではありますがデメリット面もいくつかあります。

電子では利用できない契約書もある

電子ではなく、紙面で保管しなければならない書類も存在します。こちらは法令で決まっているため、必ず紙面にて保管・管理をします。電子で保管できない書類は、下記の通りです。

・定期借地契約
・定期建物賃貸借契約
・特定商品取引法で書面交付が義務付けられている契約書

労働条件通知書は、法改正により2019年4月より電子交付が可能になっています。

トラブルを防止するため、電子で保管できない契約書、できる契約書を社員一人ひとりの把握が必要です。

導入までに費用がかかることもある

電子契約専用のシステムには、導入コストがかかります。システムの準備だけではなく、データを保存するためのクラウドストレージサービスの利用、遠隔地へのバックアップを保存するなど保存システムの導入も必要です。すでにクラウドストレージサービスを利用している、バックアップデータの用意をしている場合は少ない費用で導入できるでしょう。

サイバー攻撃に遭うリスクもある

インターネットを介して契約書の作成、送付、保管を行います。そのため、サイバー攻撃に遭ってしまうリスクもあります。こうしたインターネットを通じて起こる脅威から守るには、セキュリティソフトの導入はもちろん、一人ひとりがセキュリティリテラシーを持つことが必要です。

電子契約の認証方法の種類

電子契約書を送付する際に、いくつか認証方法があります。サービスによって、どの認証方法が使えるのかが異なる場合があるため、事前に認証方法を把握しておくようにしましょう。

電子証明書を利用した認証方法

電子証明書を利用した電子署名は、送信者が電子証明書を発行。電子証明書と電子データ(契約書)、暗号化した電子データを受信者に送ります。受信者は、電子証明書の有効を確認し、送付された電子署名から復元されたハッシュ値と送付されたデータから生成されたハッシュ値を比較して、改ざんや偽装がされていないかどうか確認します。

メールを利用した認証方法

送信者が電子契約システムのサーバーに契約書と受信者のメールアドレスをアップロードします。アップロードされたメールアドレス宛(受信者)に、専用アクセスURLが送付されます。受信者が添付されたURLより捺印者としてサーバー上の契約書にサインをする方法です。

ハイブリッド署名

ハイブリッド署名は、電子証明書とメール認証での方法を組み合わせた署名方法です。送付者側では、電子証明書を利用し受信者側ではメール認証を使い、受信者側の状況に合わせて選ぶことができます。

電子契約で知っておきたい法律

電子契約では、法律で定められているルールもあります。それに関連する法律への理解も深めて行く必要があります。

e-文書法

e-文書法は、法人税法や会社法、商法などで保管が義務付けられている文書や帳簿、請求書などについて紙媒体だけではなく電子化した文書ファイルでの保存を認める法律のことです。

電子帳簿保存法

国税帳簿書類の電子データでの保存を認める法律のことを「電子帳簿保存法」といいます。

この法律では、「国税関係帳簿書類の電子保存を認めること」「国税関係帳簿書類のスキャナによる電子保存を認めること」が定められています。

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電子署名法

正式には、電子署名及び認証業務に関する法律といいます。電子契約でも紙面(押印・直筆のサイン)と同様に通用するための基盤を目的として定められました。

電子契約の導入手順

電子契約の導入手順

契約書の管理体制を見直す

まず、はじめに契約書の社内管理体制について、現状を精査します。精査することで、予算や導入システムなどを決められるため、しっかりと管理体制を見直しましょう。

見直すこととして、管理している契約書の種類や部数、発生する契約の件数、締結している契約内容、契約を締結する際の意思決定プロセスなどが挙げられます。

契約の締結方法だけではなく、契約書の管理体制を抜本的に見直して再整備していきます。

導入する電子契約システムを決める

管理体制を見直しが終わったら、導入する電子システムを決めます。電子システムは、すでに機能がそろったサービスを使うことが一般的です。自分たちのニーズを満たせるサービスを提供してくれる電子システムを選ぶ必要があります。複数のサービスをお試ししてみて決めるのも良いでしょう。自社にあったサービスを利用するためにも管理体制を見直し、細かくニーズを把握しておくことが重要です。

電子契約システムの導入を社内外に周知させる

電子契約システムの導入が決定したタイミングやシステムの運用を開始するタイミングで、社内外に周知するようにしましょう。社内では、システム運用の時期や使用方法など細かく周知します。社外にも契約書が電子になることを通知しましょう。

おすすめの電子契約システムとは

クラウドサイン

クラウドサインは、知名度がある電子契約システムで、多くの利用者がいます。メール認証による署名での契約締結ができるため、手続きが簡単です。受信者側がクラウドサインインに登録する必要がなく契約締結ができるのも、人気の理由です。電子契約だけではなく、雇用契約や発注書、領収書の発行も可能です。

GMO電子印鑑 Agree

インターネットソリューション事業を展開しているGMOが提供している電子システムです。署名方法は、電子証明書やメール認証、ハイブリッド署名が利用できます。

契約書によって署名方法を選ぶことができるのは、Agreeのメリットともいえます。

インボイス制度・電子帳簿保存法のツールはこちらでも紹介しています
【ハイパー】おさらい&ツール紹介 インボイス制度・電子帳簿保存法

まとめ

今回は、完全テレワーク化のカギともいえる電子契約についてご紹介しました。

電子契約は、電子署名とタイムスタンプを利用することで、紙文書と同じ法的効果を持ちます。省スペース化を実現したりコスト削減を実現したりとメリットが多くあります。テレワーク時にも、契約書の作成や送付のために出社するということが減り、完全テレワーク化へと近づけたい企業は取り入れるべきシステムといえるでしょう。

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