電子文書で必要なタイムスタンプとは?タイムスタンプの重要性と費用
2024/05/24 業務効率化テレワーク化やオフィスの縮小化に伴い、ペーパーレス化を進めている企業も多いのではないでしょうか。契約書についても電子化が取り入れられています。そこで使われるのが、タイムスタンプです。電子契約を利用していない場合、タイムスタンプとは何か、重要なのかどうか分からない部分があることでしょう。
そこで、この記事では電子契約で必要になるタイムスタンプについて解説します。契約書などを完全に電子データとして保存したいとお考えなら、ぜひ参考にしてください。
電子文書で必要な「タイムスタンプ」
タイムスタンプとは、スタンプに記載されている時間に電子文書が存在していたことや、記載された時間以降に改ざんされていないことを証明してくれるスタンプのことです。主に、電子契約書で利用されています。
改ざんができない?タイムスタンプの仕組み
タイムスタンプが信頼できる理由は、「電子文書の作成時刻を証明してくれること」そして「改ざんができないこと」です。
その理由は、タイムスタンプは、第三者が発行しているためです。タイムスタンプは、時刻認証局(TSA)へ依頼し発行してもらうことで、付与することができます。文書の作成者が作成し付与できるものではないため、改ざんすることができず、信頼できるものとされています。
電子署名とタイムスタンプの違いについて
電子署名もタイムスタンプと同様に、第三者機関が保証しています。ただし、電子署名とタイムスタンプは役割が異なります。
タイムスタンプは、スタンプに書かれている時間に文書が作成されていることを証明します。一方で、電子署名とは、本人が文書を作成したことや文書が改ざんされていないことを証明しています。
タイムスタンプの重要性とは
重要な電子文書をデータとして保管しておく際、タイムスタンプの付与はかかせないものです。ここでは、タイムスタンプの重要性について見ていきましょう。
電子署名だけでは足りない「時刻の証明」ができる
電子署名は、誰が何を契約したものなのかを証明することが可能です。しかし、電子署名だけでは電子契約書が作成された時間については担保することができません。
タイムスタンプは、電子文書が作成された時間を証明するものです。電子署名の弱点をタイムスタンプがカバーしてくれています。
タイムスタンプを付与すると電子文書の有効期限を長期化が可能
電子署名だけの場合、電子文書の有効期限は最短で1年、最長で5年間です。タイムスタンプの場合、有効期限は10年まで。電子署名とタイムスタンプを組み合わせた場合は、タイムスタンプの有効期限が採用されるため、最長10年まで延長が可能です。
電子署名の有効期限が切れても、タイムスタンプが付与されていれば、その期限まで有効性が確認できます。
電子帳簿保存法に対応できる
電子帳簿保存法とは、国税関連の帳簿書類などを電子データで保存するための法律で、保存する際の決まりを定めています。電子契約書については、データとして保存する場合、発行日時を証明するために「タイムスタンプ」の付与が必要としています。
電子帳簿保存法で決められた書類以外にも有効
電子帳簿保存法で定められた書類以外にもタイムスタンプは有効です。例えば、電子カルテに使用することで、カルテの内容が改ざんされていないことを証明することができます。
製造業界であれば、商品の製造についてのノウハウにタイムスタンプを付与することで以前から使われていた技術を証明することが可能です。
ペーパーレス化には必須
近年、テレワークが進みオフィスへ出社することが減ってきています。その影響もあり、紙の書類を作成するのが難しく、ペーパーレス化の推進が必要な企業も多いのではないでしょうか。
オフィスのペーパーレス化や、ペーパーストックレス化を目指すには、書類の電子化が1つのカギです。タイムスタンプは電子帳簿保存法に対応できる技術なので、そのペーパーレス化や、ペーパーストックレス化に役立つでしょう。
タイムスタンプを付与するには?
電子契約書を発行する際に必要なタイムスタンプですが、付与するためにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは、タイムスタンプの発行から利用にかかる費用までご紹介します。
タイムスタンプの発行までの流れ
まず文書を作成したら、時刻認証局に電子文書のハッシュ値を送信し、タイムスタンプの作成を依頼します。このハッシュ値とはファイルごとに異なる文字列のことで、ハッシュ値は文書が修正されると変更される仕組みになっています。
時刻認証局は、送られてきたハッシュ値をもとに時刻情報を加えたタイムスタンプを文書作成者に発行。依頼した方は電子文書と一緒にタイプスタンプを保管しておきます。
そして、文書の送信者や受信者は原本であることを証明するために時刻認証局からカギを受け取りタイムスタンプと電子文書のハッシュ値を確認し、情報が一緒であれば改ざんされていないことを証明できます。
タイムスタンプを付与するにはどうしたら良い?
タイムスタンプを使うには、タイムスタンプを利用できるサービスを利用するのがおすすめです。基本的に経費精算システムや電子契約システムなどにタイムスタンプを付与できる機能が備わっています。利用料には、タイムスタンプにかかる費用も含まれているため、大変便利なツールです。
タイムスタンプだけを提供しているサービスもあります。
タイムスタンプの利用でかかる費用について
タイムスタンプを利用するには、利用料がかかります。基本料金の他に、発行した数だけ金額がかかる従量制であることがほとんど。従量制の場合は、契約書につき1件50円程度からが相場です。それ以上かかる場合もあります。
また、初期費用として10万円以上かかる場合も。あらかじめ月にどのくらいの契約書を発行しているのか把握し、サービス内容を確認の上、システムを選びましょう。
2022年1月に電子帳簿保存法が改正
2022年1月から電子帳簿保存法が改正されています。その影響で、タイムスタンプの付与について少し変わっています。
電子帳簿保存法の改正後のタイムスタンプについて
これまで、タイムスタンプは書類をスキャナーで読み取ったら3営業以内に書類の受領者が署名したら、タイムスタンプを付与する必要がありました。さらに2カ月と7営業以内に受領者とは別の方が原本との照合を行い、照合者もタイムスタンプを付与する必要があります。
改正後は、スキャナーで読み取った書類のタイムスタンプの付与は、2カ月に緩和。照会後のタイムスタンプの付与をする必要もなくなりました。
改正された電子帳簿法保存法について詳しくはこちらの資料から
資料「2022年の電子帳簿保存法改正2つのポイント」ダウンロード – HYPER VOiCE
まとめ
今回は、電子契約で必要なタイムスタンプについてご紹介しました。
タイムスタンプとは、記載された時刻に文書が作成されたこと、それ以降に改ざんされていないことを証明するためのものです。電子契約書は、いつでも修正することができます。そのため、信憑性が薄くなってしまいます。そのデメリットを補うために作られたのがタイムスタンプです。時刻認証局という第三機関が発行しているため、改ざんすることができません。そのため、タイムスタンプが付与されている電子契約書は信憑性が高く、有効期限も長いのが特徴です。
これから電子契約書の導入も検討している場合、このタイムスタンプが付与できる環境の用意も忘れずに行いましょう。
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