テレワーク環境を構築するシステムとは?ICT環境構築について
2020/10/14 テレワークテレワークの際には、ICT環境を構築する必要があります。テレワークを快適に行うためにも、環境の構築はとても重要なポイント。今利用しているICT環境を確認しながら、準備していく必要があります。
そこで今回は、テレワーク環境を構築するICT環境についてご紹介します。
テレワークの際に利用する端末の選択
基本的にパソコンを利用して業務を行います。その端末にはいくつか種類があります。
ファットクライアント型パソコン
ファットクライアント型のパソコンは、資料やファイルなどをローカルに保存することができるパソコンです。ファットクライアント型であれば、アプリの操作も端末単体で行うことができます。資料の作成などもスムーズに行うことができます。
シンクライト型パソコン
シンクライト型のパソコンは、データをローカル保存せずに、サーバーに保存してくれるパソコンです。ローカル保存はできず、出力程度の機能しか持っていない端末がほとんど。
BYOD
BYODとは、社員の私物のパソコンやタブレットを業務に利用すること。セキュリティについて会社で規定を定めることで、比較的安全に利用が可能です。また、企業側が端末を用意する必要がないのもメリットです。ただし、パソコンやタブレットを持っていない社員もいる、管理が難しいなどのデメリットもあります。持っているパソコンのスペックが業務には適していない場合もあるかもしれません。
テレワークに必要なICT環境構築について
ここでは、テレワークに必要なICT環境構築できる4つをご紹介します。
リモートデスクトップ
オフィスにあるデスクトップパソコンをリモート(遠隔)で操作や閲覧をするシステムのことです。私物または会社から貸し出されているパソコンやタブレットから、インターネットを利用してオフィスのパソコンを自宅などの遠隔から操作します。オフィスのデスクトップをそのまま利用できるため、業務をテレワークでもそのまま継続して行うことが可能です。
保存したファイルは、オフィスのデスクトップに保存され、遠隔に利用するパソコンやタブレットには保存されません。利用する端末にデータが保存されないため、内部不正による情報漏えいを防ぐことが可能です。
仮想デスクトップ
サーバー上に設置しているデスクトップのことを仮想デスクトップといいます。仮想デスクトップを利用する際は、オフィスに仮想デスクトップのためのサーバーを設置。サーバー内に保存しているデスクトップにアクセスし、作業を行うのが一般的です。リモートデスク同様に、テレワークで利用する端末には情報を保存することができません。利用する端末を問わないため、私物の端末からも利用可能です。
クラウドシステム
クラウドシステムは、仮想デスクトップと似ていますが、保存方法が異なります。仮想デスクトップは専用のサーバーに保存しますが、クラウドシステムは、クラウドサーバーに保存します。インターネットを通じてクラウドにアクセスし、利用します。サーバーをオフィスに設置したりオフィスの端末にリモートアクセスしたりするわけではないため、地震などでオフィスが利用できなくなった場合でも利用することが可能です。そのため、BCP対策にもなるでしょう。
パソコンを持ち帰る
オフィスの端末を持ち帰り、VPNを通じて会社サーバーやシステムにアクセスする方法です。テレワークで利用するパソコンに情報が保存されるため、情報漏洩のリスクが高まります。
また、オフィスで利用しているデスクトップパソコンにローカル保存しているデータを一時的に移す必要があります。
リモートデスクトップについて
リモートデスクトップのメリット
ソフトウェアの導入や管理が不要
リモートで、オフィスのパソコンにアクセスします。ソフトウェアの導入や管理ソフトなど、改めてテレワーク用の端末に導入する必要がありません。ソフトウェアやシステムを導入・管理する必要がないため、コストを抑えることができます。
オフィスと同じ環境で作業ができる
端末を問わず、オフィスで利用しているパソコンを利用することができます。わざわざデータを移行させたり準備したりする必要がありません。ストレスになりにくいので、いつも通りの環境で利用できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
端末にデータを保存できない
テレワーク端末に利用するパソコンには、データが保存されません。そのため、紛失による情報漏えいの危険などにさらされることがないことがメリットとして挙げられます。また、社員の私物端末であっても利用することが可能です。
リモートデスクトップのデメリット
オフィスのパソコンは常に電源をオンにして置かなければならない
リモート遠隔するオフィスにあるパソコンは、常に電源をオンにして置かなければ意味がありません。
不正アクセスの可能性が高まる
リモートデスクトップに限りませんが、VPN(仮想専用線)を使わず公共の回線を利用することで、データの盗み見や改ざんなどの被害に遭う可能性があります。
リモートデスクトップはWindows10 Proで利用できる
Windows10 Proには、リモートデスクトップを利用できる機能が搭載されています。管理者が許可することで、リモートデスクトップを利用することが可能です。
ただし、Windows10 Homeには搭載されておらず、利用できません。オフィスのパソコンがWindows10 Homeを搭載している場合はご注意ください。
なお、Windows10 Homeが搭載されたパソコンからWindows10 Proへのリモート接続は可能です。
仮想デスクトップについて
仮想デスクトップのメリット
どの端末を利用しても同じ環境で利用できる
サーバー上にデスクトップを構築させるため、リモートデスクトップと同様にどの端末を利用しても同じ環境下で利用することができます。
仮想デスクトップのデメリット
専用サーバーを設置する必要がある
仮想デスクトップを利用する場合、専用サーバーを設置する必要があります。仮想デスクトップを利用する場合はIT整備を行わなければならず、利用開始までに手間がかかります。
サーバーにトラブルがあると業務がストップしてしまう
サーバーにトラブルがあり、利用できない状況になると業務を行うことができません。それは一人だけではなく、社内全体で業務停止してしまう恐れも。復旧に時間を要す可能性もあり注意する必要があります。
テレワーク導入の際は、ツール選びが重要!
テレワークの環境を整えるにはツールが必要
テレワーク環境の準備は、端末の用意だけではありません。テレワーク(特に在宅勤務)は、オフィスでの働き方とは異なるため、離れた場所でも適応できるテレワーク向けのツールが必要です。
例えば、オフィスでは簡単にできていたコミュニケーションも、テレワークでは難しくなります。そのため、テレワークには、ビジネスチャットやWEB会議ツールなどのコミュニケーションツールが必要になるのです。
コミュニケーションツールの他にも、ファイル共有サービスや勤怠管理ツールなどもテレワークを導入する上で必要です。
テレワークには自社にあったツールを選ぼう
テレワーク向けのツールには、さまざまな商品がリリースされています。
テレワークでよく利用されているWeb会議ツールにも、TeamsやZoomなど、たくさんの種類がある状況です。
そのため、どれをどのように選べば良いのか?迷うことでしょう。
すでにビジネスチャットを利用していても、有料版への移行や別のサービスの方が適している場合もあるかもしれません。
テレワークを導入する際は、テレワーク導入の目的を定めたり業務を見直したりして自社の労務環境にあったツールを選びましょう。
テレワーク導入チェックリスト」で自社に必要なツールをチェック
働き方改革や、感染病拡大予防のためにテレワークが導入され始めています。最近では、各企業に対して、社員の在宅勤務を70%になるように要請されています。原則テレワークでの働き方を導入する企業も増えてきている状況です。今後も、テレワークでの働き方が普及していくでしょう。
このテレワーク普及の影響もあり、テレワーク導入を考えている担当者さまも多くいるはずです。特に、新型コロナウイルスの影響が大きく、事業継続を守るにはできる限りでテレワーク導入を検討した方が良い状況であるといえます。
しかし、中にはテレワークの導入に不安を抱いている担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。テレワークの導入を難しく感じている、テレワークでの働き方にメリットはあるのかなど、疑問に思うことが多いかもしれません。
そこで、テレワーク導入チェックリストをご用意いたしました。テレワーク導入に向けて、どんなツールを導入すべきなのか?何が必要なのか?自社にあったツールや重要なポイントをセルフチェックすることが可能です。ぜひ、テレワーク導入チェックリストをご活用ください。
クラウドシステムのメリット・デメリット
クラウドシステムのメリット
運用を専用のベンターに任せられる
クラウドシステムの場合、運用のために人を雇う必要がありません。すべて、クラウドシステムを運用するベンターに任せることができるので、稼働が楽に。コストも削減することが可能です。
専用サーバーが不要
リモートデスクトップであれば、オフィスのパソコンを利用します。仮想デスクトップの場合、専用サーバーを設置する必要があります。そのため、維持やメンテナンスのためにコストがかかってしまうことも。クラウドシステムの場合は、専用サーバーが不要でメンテナンスの必要がありません。専用サーバーが不要な分、工事する必要もなく、すぐに導入しやすいのもメリットです。
災害などの被害を受けにくい
サーバーをオフィスに設置している場合、地震や火災などの災害が起こった場合、サーバーが損失し、事業継続が難しくなってしまうことも。クラウドシステムの場合は、クラウドに保存することもあり、損害被害に遭いにくくなっています。不測の事態でも会社の経営をすぐに復旧させることができるでしょう。
クラウドシステムのデメリット
アプリケーションによっては制限できない場合も
どのアプリケーションを利用するかによって、できることはさまざま。端末への保存を不可できるサービスもあれば、できないサービスもあります。操作方法も異なるため、トライアル等を利用して一度試して見る必要があります。
ネット環境に依存してしまう
クラウドシステムは、インターネットを利用して接続します。そのため、ネット環境が必要であり、依存してしまいます。不安定な状況下では利用しにくいので、社員全員が安定したネット環境下で作業できることが条件となります。
会社のパソコンを持ち帰るメリット・デメリット
会社のパソコンを持ち帰るメリット
通信が安定しない中でも利用ができる
パソコンを持ち帰るメリットは、インターネット環境に依存しにくいことです。リモートデスクトップや仮想デスクトップ、クラウドシステムは、通信状況によっては利用できないことも。持ち帰ったパソコンは通信が安定しない中でも、資料作成を行うことが可能です。
従業員が使い慣れた端末を利用できる
会社で利用しているパソコンは、使い慣れている従業員の方が多いでしょう。そのため、テレワークでも作業をスムーズに進められるので作業効率の維持が可能です。
会社のパソコンを持ち帰るデメリット
端末にデータが残る
データを保存する際は、端末に保存します。そのため、紛失してしまうと大きな問題となり、最悪の場合情報漏えいしてしまう恐れも。
コストがかかる場合も
もともと、社員にノートパソコンを支給している場合はそのまま利用できます。しかし、そうでない場合、テレワークのために全社員分のノートパソコンを購入する必要があります。パソコンを購入するだけはありません。セキュリティソフトなどのその他アプリケーションの導入も必要です。そのため、他のシステムと比べてコストがかかる場合があります。
まとめ
今回は、テレワーク環境を構築するICT環境についてご紹介しました。
会社のパソコンを持ち帰り、VPNを利用して社内システムを利用する他に、リモートデスクトップや仮想デスクトップなどを利用することができます。身近なのは、会社のパソコンを持ち帰ることですが、紛失や内部不正などのトラブルの恐れも。リモートデスクトップやクラウドシステムなどが手軽に導入できるので良いかもしれません。
「クラウドインフォボックス」では、働き方改革や経営に役立つクラウドサービスの情報を掲載しています。
姉妹サイトである「HYPERVOICE(ハイパーボイス)」では、企業様の情報システム代行サービス「Business Core NEXT(ビジネスコアネクスト)」を運営しております。