SaaSでコストダウンを目指す!まず検討すべき具体的な導入手法とは
2024/11/13 クラウド
企業の業績が下がったとき、あるいは企業の業績を今よりもっと上げたいときに声高に叫ばれるのが「コストを下げろ」「コストダウンをしろ」ではないでしょうか。
しかし、一言でコストダウン・コストカットするというのは簡単ですが、実際にはコストダウンをするにはさまざまな手法があります。
一番簡単なのは人件費のカットです。いわゆるリストラも人件費のカットに含まれます。
しかし、この手法は企業の体力自体をそぎ落としていく諸刃の刃でもあるのです。また、仕入れを安くすることもコストダウンの一環ですが、これをすると品質に影響が出てしまいます。
コストを下げることは企業の業績を守るために大切なことですが、一方で難しい面もあるのです。そういった中で注目を浴びているのがSaaSです。
ここではSaaSによるコストダウンについて考えてみます。
SaaSでコストダウンは可能か
まずはSaaSのおさらいです。クラウドと同義語にされがちなSaaSですが、基本的にはSaaSというのはITツールと呼ぶべきものです。
どちらかと言うとクラウド(雲)というのは、その名のとおりもやもやとした曖昧なものを表現していて、つかみどころのないインターネットの世界を表現しています。
言うなればインターネットの世界に入れば、クラウドから恵みの雨を受けることができるということです。
どことなくつかみどころのないクラウドサービスの中でより具体的、具現化したものがSaaS(Software as a Service)であり、日本語にすると、「サービスとしてのソフトウエア」ということになります。ですので、SaaSはクラウドの中のひとつのサービスなのです。
SaaSの特徴は、ネット環境にあればいつでも自由にアクセスできること、データをオンラインストレージに保存できること、そして複数の人員で管理と編集ができることです。
全国チェーンのホテルでは、独自のオンラインシステムで顧客管理を行っていたのを、顧客が部屋の予約状況の閲覧から予約を直接行えるようにするサービスを取り入れました。
これがSaaSをより具体的に説明できる事例と言えます。ホテルを利用する人が何気なく使っているネットの予約システムこそがSaaSなのです。
基本的にコスト削減というのは、企業であればどのような現場であっても日常的に行われていることです。そして時折、上層部からさらなるコスト削減の指示が出されます。
そのようなときに社内環境においては、アプリケーションはデータをひとつの箇所において集中的に管理し、多くの人がそこから必要なデータやツールを使えるようにすることで効率性が向上し、コストダウンにつながっていくのです。
集中管理することで、SaaSは共有性であるとか使用される頻度などが明確になるため、それをさらにリサーチしてさらなるコストダウンの方法を考えることができるのです。そこから導き出されるコストダウンの分野が多岐にわたっているため、SaaSを導入することでさらなるコストダウンに期待がかかっているのです。
SaaSでコストダウンしやすい業務領域とは
SaaSは具体的にどのような業務領域で活かすことができるのでしょうか。SaaSの特性を遺憾なく発揮できるのは、その企業の基幹となる分野です。
先ほどSaaSを説明する部分で、SaaSを利用したホテルの予約システムを説明しましたが、予約システムこそホテル事業の基幹と言える分野です。そのよう業務領域を顧客が操作できるようにする予約システムというのは、ある意味大きなリスクを背負っているとも言えます。
しかし、企業の基幹となる部分に切り込むことで、大きなコストダウンを達成できるのです。コストダウンがそのまま企業の業績になるのですから、SaaSをいかに有効に活用していくかが企業の浮沈にも大きく影響する時代になったということです。
それでは、一般企業の基幹系システムというのはどういった業務領域なのでしょうか。それは言うまでもなく、給与管理、人事管理、販売管理、生産管理、工程管理といったものになります。簡単に言うと企業における上位にある部門が基幹ということです。
従来基幹系というのは、オフコンや汎用(はんよう)機時代からあり、閉鎖されたシステムの中で、その企業独特な形で進化していきました。そのため複雑化し、さらには肥大化してきた経緯があるのです。それと閉口して徐々に外部に門戸を開いていったものがオープンシステムと呼ばれたシステムです。これはどちらかと言うと、基幹とは対照的に枝葉から広まったものと言って良いでしょう。それがさらにインターネット上でも使われるようになったのです。
本来閉鎖されたシステムである基幹系ですから、どうしても高コストになりがちです。それをSaaSに移行することで、基幹系システムの運用コスト、さらには保守にかかるコストを大幅に下げることができるのです。
しかし、企業活動の根幹となる基幹系システムをSaaSに移行することは、大きなリスクでもあります。大企業であれば一気に資金を投入して一時的にコスト高になってもやり遂げてしまうことでしょう。
とはいえ、資金繰りが潤沢ではない中小企業では、安易なSaaS以降で大きなトラブルを招く恐れもあります。SaaSの必要性を感じながらも基幹系の移行は慎重に慎重を重ねて行っていかなければいけません。
SaaSの具体的な導入手法
基幹系システムは、オフコンや汎用(はんよう)機の時代から続いてきたものであれば、その企業オリジナルのシステムになっていることと思います。いわゆる企業にあったオーダーメードのシステムとなっているのです。そこから、さらにオープン化が進んでパッケージソフトの導入によって大きなコストダウンを図ることができたことでしょう。
しかし、パッケージソフトも閉鎖されたシステムであり、ソフトの改変などで多大なコストがかかってしまいます。SaaSはインターネット経由で提供されるため、システムの改変などにも柔軟に対応でき、しかも低コストで提供されます。
システムの移行には多大な人的資源が必要になりますが、SaaSを提供する企業からのサポートを受けることができますし、SaaSの大きな特徴として、必要なものを必要なときだけ利用することができます。インターネット上にあるため、利用する側に煩雑な管理作業というものが発生しません。そのため導入方法ということになると、インストール作業の必要がないということが、大きな導入のメリットとなります。パソコンを例に取ると作業をするために必要なソフトをインストールしなくてはいけません。企業で多くの人に使ってもらうには人数分のライセンスキーも必要になってきます。SaaSについても使用人数が制限される場合がありますが、基幹システムになると利用する人も限られてくるのでそれほど問題にはなりません。インターネットですから、Web経由でどこからでもアクセスできるスピード感も大きなメリットと言っていいでしょう。
セットアップについては必要なことはアカウントとパスワードの管理くらいで、後は操作方法とこれまでのデータの引き継ぎということになります。このあたりは提供する企業のサポートを受ける部分となります。導入については、驚くほどスムーズに運ぶことでしょう。
また、ネット上に存在しているソフトですから、常に最新バージョンを利用できるメリットがありますし、それについてもほぼ無償で提供されますし、自社でハードウエア環境や必要なインフラを持たないことによるコスト削減も大いに期待できます。
まとめ
今回は、SaaSの概要やSaaSとコスト削減の問題、さらには基幹系システムでのSaaSの導入について説明しました。
従来言われてきたASPとSaaSはどう違うのかという疑問も出てくることだと思いますが、クラウドの中にSaaSがあるのと同じように、ASPの中にSaaSがあると考えるとわかりやすいと思います。
少子化による人材の不足、さらにはマーケットの縮小による伸びしろの不足といった逆風の中で、コスト削減という問題は言い古された言葉ですが、いつの時代でも避けることはできません。今後は外国人労働者が増えていく時代となり、枝葉の部分をまかせることによって、基幹系のシステムを強固にしかも安価で管理していく必要性がさらに増していきます。そのような中でSaaSは企業の中で大きな存在となっていくのは間違いありません。
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