働き方改革の一環?週休3日制のメリット・デメリット
2021/03/15 働き方改革週休3日制を導入する企業が増えてきました。働き方改革の提唱により、ワークライフバランスが重要視されています。そのため、休暇を増やす週休3日制に注目が集まっています。
企業が週休3日制を導入したとメディアで目にすることも多く、週休3日制について気になっている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、週休3日制度のメリットとデメリットについてご紹介します。
働き方改革の一環?週休3日制について
週休3日制とは、言葉の通り週に休みを3日間取り入れ、週4勤務とする方法です。一般的には、週5勤務で、週休2日制または完全週休2日制が取り入れられています。働き方革命が促進により、週休3日制を取り入れる企業も増えていることから、注目が集まっているシステムです。
週休3日制の導入が広がった背景
近年、日本の労働について長時間労働などの問題が浮き彫りになりました。
その結果、多様な働き方に需要が出てきて、従業員の生産性の向上など、働き方に変化が出てきています。特に、仕事と私生活の調和を表すワークライフバランスが重要視されています。これは、生活を充実させることで仕事もうまく進める(生産性向上)、仕事をうまく進めることで生活を充実できるといった相乗効果を狙っています。
こうしたワークライフバランスが注目される中で、働き方が週休3日制といった休みを増やすことに注目が集まっているのです。
週休3日制での働き方のパターン
週休2日から週休3日となる場合、どのような勤務形態で働いているのか気になりますよね。ここでは、取り入れられている週休3日制の仕組みについてご紹介します。
【働き方のパターン1】1日10時間×週4日勤務
週休2日・週5勤務と同様の勤務時間数となるように1日10時間制を取り入れられる場合があります。ただし、労働基準法では1日8時間と決められています。残りの2時間は時間外となるため手当が発生します。基本労働を10時間のまま、労働基準法の違反になってしまうことも。
そのため、変形労働時間制(フレックスタイム制など)も一緒に導入しなければなりません。
【働き方のパターン1】1日8時間×週4日勤務
通常通り1日8時間の週4勤務を取り入れている企業もあります。この場合は、週休2日・週5勤務と比較して勤務時間数が少なくなります。ワークライフバランスが整いやすくなりますが、給与水準については週5勤務よりも下げる企業がほとんどです。
【週休3日制度の仕組みまとめ】
1日10時間×週4日勤務 | 1日8時間×週5勤務と週の所定労働時間を同じにし、給与水準を同じにする |
1日8時間×週4日勤務 | 週の所定労働時間が減ることで給与もそれに見合わせる |
1日8時間×週4日勤務 | 週の所定労働時間が減るが給与水準は1日8時間×週5勤務と同じにする |
週休3日制を取り入れるメリットとは
週休3日制のメリットは、いくつかあります。そのメリットについて詳しくご紹介します。
人材不足の解消・人材確保につながる
週休3日制になるとプライベートに充てられる時間が増えます。そのため、プライベートを充実させられる企業としてイメージの向上につながります。優秀な人材が集まりやすくなるため、人材確保・不足の解消につながりやすくなります。
また、育児や介護をしている方にとっては、働きたいけど週休2日だと時間がなくなってしまうのが不安…という方も多くいます。働きたいけど働けない状況にある方も、週休3日であれば選択しやすくなるため、有効です。
生産性の向上に期待できる
週4日の勤務で業務をこなす必要があるため、集中しやすい状況になります。また、プライベートが充実しやすくなることもあり生産性の向上に期待できます。自分の時間が増えることで、モチベーション向上につながります。
離職率の低下
週休2日などの労働条件では、育児や介護と両立するのが難しいと感じる方が多く、育児や家族の介護をきっかけに離職する方もいます。他にも、より良い労働環境を求めて離職される方も多くいらっしゃいます。1人でも多くの社員が働きやすい環境を作り、長く働いてもらうことは、企業のイメージアップにもつながります。
イノベーションの促進
休日が多くなることで、社員はリフレッシュできます。しっかりと休息を取った状態で、仕事に取り組むことが可能です。新たな消費者目線や発想などを見つけ出し、アイデアの創出のきっかけになることも。今後、発展していく上でとても大切なイノベーションが促進することに期待できます。
週休3日制のデメリット
週休3日制はメリットもありますが、デメリットもあります。もちろん、工夫することでデメリットを解消することもできます。ただ、どういったデメリットがあるのか把握しておくとフォローをしやすくなります。
コミュニケーション不足になってしまうこともある
社内全員が週休3日制であれば問題ありませんが、希望者だけに適用している場合、勤務数が少ないため連絡が取れないといったことが原因でトラブルになってしまうことも。
取引先とのやり取りもスムーズにいかなくなってしまうこともあります。取引先とのやり取りは、誰かがフォローできるような仕組み作りや、事前に報告しておくと安心です。
業務が終わらなくなってしまう可能性がある
1日分勤務数が減ってしまうことにより、通常終わるはずの業務がなかなか終わらないということもあるかもしれません。週休3日制を取り入れる場合は、従来通りの仕事をこなすための対策を講じる必要があります。
勤務数減った分の社員を雇っても良いですし、効率化させるためのシステムを導入するのも良いでしょう。
週休3日制の導入ポイント
週休3日制を導入する場合、週休2日から勤務形態が変わります。そのため、導入の際は、いくつかルールを設ける必要があります。ここでは、週休3日制を導入する際のポイントをご紹介します。
導入目的を定める
まずは、導入目的を決める必要があります。ワークライフバランスの促進、育児や介護と仕事との両立を支援するため、などを決めていきます。
対象者
週休3日制の対象となる雇用区分を決めていきます。全社員対象なのか、制度に慣れるまでは一時的に正社員のみ、契約社員のみ、一部の部署に限定するなどと決めます。
目的に合わせた制度を決める
雇用形態が変わるため、勤務時間や給与などのルールを決める必要があります。
勤務時間であれば、8時間とするのか、10時間制度を取るのかを決めていきます。
給与は勤務時間が8時間の場合、低くするのかを決めなければなりません。
雇用区分に関係なく、全社員に週休3日制を導入する場合は、給与水準は変えない方向でも良いでしょう。
ただし、週5勤務・週休2日の方もいる場合は、公平でなければなりません。勤務時間や給与のルールは必ず決めておくようにしましょう。
一時的な利用は可能にするか
継続的にではなく、一時的に週休3日制を取りたいと希望する社員もいるかもしれません。そのため、必要に応じて、一時的でも週休3日制を認めるのかを決める必要があります。
ただし、一時的に利用も可能とする場合、何度も利用し申請手続きを複雑にしてしまうといった懸念があります。そのため、もとに戻したら○カ月間は使用できないといったルールを設けても良いかもしれません。
兼業や副業は可能とするか
プライベートの時間が増えることで、兼業や副業を考える方もいます。そのため、兼業や副業は可能とするかどうか、可能とする場合申請などは必要なのか、など規則を決める必要があります。
残業・休日出勤の抑制の決定
週休3日制を適用される社員は、労働時間を減らしたいと考えている方が多いと考えられます。そのため、残業や休日出勤、深夜労働を抑制するように努めている企業がほとんどです。
とはいっても繁忙期を迎えれば、残業が必要なときもあるかもしれません。そのため、事前に週休3日制でも通常通り残業を許可するのかを決めておきましょう。
しかし、休日出勤を許してしまうと、制度の意味がなくなってしまいます。休日出勤については繁忙期のみの適用など限定的にすることをおすすめします。
週休3日制を取り入れている企業の事例
次に、週休3日制を取り入れている企業の事例をご紹介します。
【事例1】アパレル企業
変形労働制を採用し、週4・1日10時間勤務にすることでフルタイム勤務と同じ給与を支給している企業です。週に3日のプライベートの時間を確保しつつもフルタイム勤務と同じ給与のため、家族の介護をしている社員や勉強をしている社員にとっては、助けられている制度だそうです。
【事例2】大手IT企業の事例
大手IT企業では、育児をしている方や介護をしている方限定で、週休3日制が選べる制度を導入しています。月単位で働く曜日を選択できたり、週休2日制度に復帰したりすることができます。ただし、週休3日制を利用した場合の休暇分は、無給としています。
【事例3】宅配業者の事例
宅配業者で正社員の週休3日制度を導入している企業があります。月単位の変動労働時間を採用しているため、月ごとの法定労働時間の中で、労働時間を振り分けているそうです。1日10時間勤務となるため、フルタイムで働いている方と同じ勤務時間数になります。
週休3日制度を導入する企業が増えてきていて、それは大手だけに限らず、中小企業でもいえることです。
ただし、全社員が週休3日を導入している企業は珍しく、週休3日か週休2日か選択できる方式を採用している企業がほとんどです。
まとめ
今回は、週休3日制のメリットやデメリットについてご紹介しました。
休みが多くなる分、社員のイノベーションの促進や離職率の低下などに期待できます。
働き方が選択できることにより、人材確保がしやすくなり人材不足の解消を手助けしてくれます。こうして働き方改革を促進してくれる制度ですが、労働時間や給与水準について決めなければなりません。導入を検討している場合は、目的や規定などを明確にし、周知させるように心がけましょう。
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