今更聞けないSaaS(サース)とは?そのメリットとデメリットについて解説!
2024/11/13 クラウドクラウドコンピューティングの台頭を受け、近年国内でも普及しているSaaS(Software as a Service)。
意識はしていないものの、現在はSaaSを何らかの形で使用しているという企業がほとんどです。
そこで今回は、そんなSaaSの概要やメリット・デメリットについてご紹介します。
SaaSとは?
「サービスとしてのソフトウエア」ともいわれるSaaS(サース)は、ネットワーク経由でアクセスできる、クラウド上のアプリケーションのことです。
これまでは、ソフトウエアを利用するためには、自分が所有するコンピュータにソフトウエアをインストールし、ローカル上で操作を行う必要がありました。
しかし、SaaSはソフトウエアだけでなく、システムをまるごとインターネットなどのネットワーク経由で提供してもらう仕組みです。
ユーザーは必要な機能を必要なときに、必要な分だけ利用できます。また、データはインターネット上に保存されているため、デバイスにかかわらずアクセスが可能。加えて、複数のユーザーが共有・編集できるという点も特徴です。
ASPからSaaSへ
インターネットを介してソフトウエアやその動作環境を提供するビジネスおよび業者のことをASPといいます。ASPの歴史は古く、登場したのは1998年です。
しかし、当時はまだマルチテナント(複数ユーザーでコンピュータリソースを共有する技術)がなく、インターネットインフラも発達していなかったこともあり、ASPは普及には至りませんでした。
現代では、技術の発達でより多くのユーザーへ、低コストのクラウドサービスが提供できるようになり、ブロードバンドの普及でインターネットへの常時接続が当たり前となっています。こうした背景もあり、SaaSは現在、企業・個人に問わず多くの方に使われるようになったのです。
PaaSやIaaSとの違いは?
SaaSと同様、クラウド上で提供されるサービスとしてPaaS(Platform as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)があります。言葉が似ているため、PaaSやIaaSとは違いがあるのか気になる方も多いかもしれません。
PaaSはサーバーやOS、ストレージ、ネットワークおよび、それに関連したミドルウエア(開発系)をクラウドサービスとして提供するものです。簡潔にいえば、開発基盤としてのプラットフォームを指します。PaaSの代表的なサービスは、HerokuやGoogle App Engineなどです。
一方、IaaSは基本的にサーバーとストレージ、ネットワークをクラウドサービスとして提供するものです。IaaSの代表的なサービスとして、Microsoft AzureやAmazon Elastic Compute Cloudなどが挙げられます。
PaaSやIaaSとSaaSを比較した際の違いは、すでに完成したソフトウエアが提供されているかどうかにあります。PaaSやIaaSは開発を目的とした基盤やインフラです。
一方、SaaSは契約後、開発や構築は不要ですぐに提供されているソフトウエアを使えるという点が大きなポイントといえるでしょう。
SaaS・PaaS・IaaSの違いについてはこちらの記事でもご紹介しています。
http://cloud-info-box.com/saas/the-difference-between-saas-paas-and-iaas/
SaaSのメリットについて
SaaSには、多くのメリットがあります。ここでは、SaaSのメリットについて見ていきましょう。
高度なアプリケーションを即導入・運用可能
SaaSを提供するベンダー(プロバイダ)のサーバーでは、すでにシステムが稼働している状態です。そのためユーザーは、契約した瞬間からすぐにシステムを利用できます。
システム導入のために、ハードウエアやミドルウエアを購入・設定する必要はありません。また、更新や保守の必要もなく、手軽な運用が可能となっています。
契約してからすぐにアプリケーションを利用できるのは、SaaSの大きなメリットともいえます。
ブラウザからの利用でインストール不要
これまでは、ソフトウエアのパッケージを購入してそれぞれのパソコンにインストールしていました。
一方、SaaSのソフトウエアは多くの場合、ブラウザ上で動作します。一部、プラグインの導入が必要になるケースもありますが、基本的にローカルへのインストール作業は不要です。
企業のように複数のスタッフがいる場合においても、わざわざ各人のパソコンを設定する手間はなく、サービスへログインするだけで利用開始できます。
料金は利用した分のみのためリーズナブル
多くのSaaSは従量課金制というモデルでサービスが提供されています。そのため、使用レベルに応じたスケールアップ・ダウンが自動でなされ、無駄なコストがかかりません。
もしくは、それぞれのユーザーのニーズに合わせたプランが選択できるようになっています。
モバイル化を容易に実現
従来では、自社システムをモバイル対応にするためには開発が必要でした。しかし、モバイルデバイスにはOSや機種によって異なる仕様があり、それぞれに合わせてソフトウエアをデザインするのには多くのコストがかかります。
SaaSは、すでにベンダー(プロバイダ)側が専用のアプリケーションを提供していることも多く、すぐにモバイル化が実現できます。
データアクセスがいつでもどこでも可能に
ほとんどの場合、SaaSのデータはクラウド上に保存されます。そのため、インターネットに接続さえできていれば、パソコンやスマホなどどの端末からでも同じデータを参照・編集することが可能です。
前項のモバイル化と合わせて考えれば、まさに「いつでも、どこでも」自分のデータにアクセスできる環境が整うといえるでしょう。
ビジネスでSaaSを活用することで、オフィスだけにとどまらず、自宅やサテライトオフィスなど離れた場所からでも作業が可能です。SaaSは、柔軟な働き方を可能にしてくれるシステムともいえるでしょう。
また、デバイス側に故障が起きた場合、クラウド上のデータが失われることはありません。地震などの災害によりデバイスが故障しても、別の端末から引き続き作業することが可能です。そのため、SaaSの活用は企業にとって災害時の事業継続性の確保にもつながるメリットがあります。
SaaSのデメリットについて
SaaSには、ブラウザから利用できたり利用場所を問わなかったりと多くのメリットがありますが、いくつかデメリットもあります。次に、SaaSが持つデメリットについて見ていきましょう。
セキュリティ面での不安がある
データをクラウド上で保管できることは大きなメリットです。
しかし、ブラウザを使えば簡単にソフトウエアやデータへアクセスできるという点は、セキュリティ面で大きなリスクであるともいえます。ベンダー(プロバイダ)側が高度なセキュア環境を保っていたとしても、ユーザー側の過失により情報漏えいが起こらないとは限りません。そのため、運用時にはしっかりとしたルールの策定が求められます。
ソフトウエアのブラックボックス化
自社ツールであれば何かしらの問題が起きたとき、改修計画を自社のプライオリティーに合わせて設定できます。しかし、SaaSにおいては、ユーザーが機能やコードに対してレビューやリクエストを送ることは難しいでしょう。
また、新機能が加わったり仕様が変更したりした際に、使い勝手が悪くなってしまうといった心配もあります。こうしたブラックボックスな環境は、見方によってはデメリットと捉えられます。
障害時の対応の遅れ
基本的に、SaaSの耐障害性は高く、それを保証するベンダー(プロバイダ)にも存在します。
しかし、ひとたび障害が起こってしまった場合、ユーザー側は手も足も出ません。復旧作業ができないということは、復旧のめどについても予測ができないのと同じことです。
また、システムメンテナンスの時刻などもベンダー(プロバイダ)の都合となってしまうため、自社のスケジュールに合わせられないという点もデメリットです。
囲い込みの問題
万が一、SaaSを提供する企業が倒産してしまった場合や、自社にとって好ましくないアップデートが続いた場合には、システムを移行する決断をすることになるでしょう。
なお、システム以降する際は、データや組織をスムーズに移行することが難しい場合があります。
SaaSの代表的なサービスとは
SaaS型のサービスは、高度なアプリケーションをすぐに導入し、運用することができるメリットがあります。最後に、SaaSの代表的なサービスをご紹介します。
Microsoftが提供しているオフィスソフト「Microsoft 365」
Microsoftが提供しているサブスクリプション型のオフィスソフトの「Microsoft 365(旧Office 365)」もSaaSの1つです。オフィスでよく利用するWordやExcelなどのアプリを課金しながら利用できます。
従来のOfficeとは異なり、さまざまな端末で同じサービスを利用できるのが大きな特徴です。
Googleが提供しているWebメール「Gmail」
Googleが提供しているメールサービス「Gmail」もSaaSの代表的なサービスとして挙げられます。Gmailは、フリーのメールサービスで、ブラウザ経由で簡単に利用できるサービスです。
「Dropbox」や「OneDrive」などのオンラインストレージサービス
オンラインストレージサービスとは、ベンダーが提供しているサーバーにドキュメントや画像などを保存することができるサービスです。幅広い端末で仕様でき、ファイルの共有や編集が楽になることから、多くの方が利用しているSaaS型のサービスです。
この他にも、近年では人事・給与・勤怠管理システムといった分野でもSaaS製品が増えてきています。
まとめ
今回は、SaaSの概要からメリット・デメリット、代表的なサービスをご紹介しました。
コスト削減や業務効率化を目指すという意味で、SaaSは頼もしいソリューションです。ただし、その選定や運用については、ある程度慎重になるべきという側面も見られます。
導入を決める際には、しっかりと下調べをしたうえで、自社に最適なSaaSを選択しましょう。
「クラウドインフォボックス」では、働き方改革や経営に役立つクラウドサービスの情報を掲載しています。
姉妹サイトである「HYPERVOICE(ハイパーボイス)」では、企業様の情報システム代行サービス「Business Core NEXT(ビジネスコアネクスト)」を運営しております。