経営者が経理のコスト削減について「いますぐ」できる事とは?
2020/03/17 コスト削減
多くの企業にとって経費削減は常について回る課題です。しかし、なかなか成果が上がらないのが実情ともいえるでしょう。
そこで今回は、経理部門に的を絞った経費削減の方法について考えていきます。いますぐ実践できるものから、中長期的に達成しておきたいものまで、いくつかの手法について解説しますので、ご参考にしてください。
経理の経費削減は人件費から
経費削減と聞いてはじめに思いつくものは何でしょうか。照明を暗くしたり、クールビズを推奨したり……。細かなアイデアであればいくつでも思いつくはずです。
しかし、それがコストに大きなインパクトを与えるには、かなりの時間を要するはずです。加えて、これらの手法は経理だけではなく会社全体に適用すべきもの。「経理独自の経費削減」にはあたりません。
では、経理部門における経費削減で「いますぐ」考えなくてはならないものは何でしょうか。一概には言い切れませんが、そのうちのひとつが人件費です。
人件費の削減といっても、いますぐにリストラを断行しようというわけではありません。例えば、業務過多で毎月残業代が発生していたとします。残業には手当を付けて給与を支払うことになるため、割高な支出といえます。かといって、人員を補充すればさらなる費用がかかるでしょう。
こうした人件費を削減する方法は、作業効率化に他なりません。つまり、経理における経費削減とは、いかに日々の業務を効率化するかにかかっているのです。
いますぐできる“キャッシュレス化”
では、経理業務を効率化するには具体的にどのような方法があるでしょうか。「いますぐできる」という観点でいえば、キャッシュレス化が挙げられます。
現金のやり取りは複雑になりがちです。例えば精算をするためには小口金庫にある程度の小銭を蓄えておく必要があります。すると、日々の入出金チェックに時間を取られることになります。
また、経費精算を都度行っていれば、その分だけ伝票(帳簿)への記入も必要となります。支払いのために銀行へ出掛けるのも無駄な時間です。金庫のお金を補充するためにATMに並んでいること自体が、非生産的といえるでしょう。
こうした問題を解決するには、以下のように工夫することをおすすめします。
● 経費精算は月1回とし、給料日にまとめて振り込む
● 公共料金や社会保険料などは、可能な限り引き落としにする
● 法人カードを作り、できる限り支払いを集める
● 支払いはインターネットバンキングで行う
● 可能な限り電子納税を利用する
このように、キャッシュレス化を推し進めることで、業務負荷を軽減することにつながります。
なお、法人カードやインターネットバンキングは経費アップに感じるかもしれません。しかし、移動時間や計算時間、支払いに関連する手間といった労力を見比べれば、はるかにコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。
中長期的に考えたい経理業務のシステム化
次に、ある程度の時間はかかるものの、実現することで大幅な作業効率化ができる方法として、経理業務のシステム化についてご紹介します。
もしも現在、手書きの帳簿などを付けている場合は、早急に会計ソフトを導入しましょう。
操作に慣れるまでは時間がかかりますが、最終的には作業がかなりスピーディーになります。また、転記などの必要もなくなるため、振替伝票や出金伝票が不要となります。これだけでもかなりの作業効率化につながるといえるでしょう。
会計ソフトはクラウドサービスがおすすめ
会計ソフトを選ぶ際には、税理士事務所が使用しているものに合わせるのが基本です。しかし、できればクラウドサービスで提供されているシステムを導入されることをおすすめします。
クラウドサービスの会計ソフトでは、帳簿がリアルタイムで同期されるため、わざわざデータを送り合うなどの手間が減ります。また経営者としても、わざわざ経理のパソコンを立ち上げずに自分の端末から帳簿を確認できるようになるでしょう。加えて、ネットバンクと連携をすれば通帳の入出金も簡単に帳簿へと記入できます。人の手で打つよりも正確なので、ミスの低減にもつながります。
なお、会計関連のクラウドサービスの中には、請求書や納品書の発行、精算申請・承認がセットになったものもあります。営業部をはじめ、さまざまな部署のスタッフとこれらを共有すれば、さらなる作業効率化も望めるでしょう。結果的に、会社全体の作業効率化にもつながります。
クラウドサービスの利用でペーパーレス化も実現
クラウドサービスを活用すれば、経費削減の王道であるペーパーレス化にも一歩近づきます。例えば請求書。紙に印刷してコピーを取り、それをチェックするというフローの場合だと、修正があった際に2枚の紙が無駄になります。カウンター料金も上がるでしょう。そして何よりも、その工程で生まれる作業が人件費に直結します。
しかし、クラウド請求ソフトであれば印刷の必要がありません。確認はそれぞれの従業員が持つパソコン上で行うことができ、修正があった場合も直接編集ができます。最終的に完成した請求書だけを印刷すれば、それで請求業務は完了です。
ただし、いくらクラウド請求ソフトを使ったとしても、経理担当者が今までのやり方を変えられなくてはペーパーレスが達成できません。そのため、大切なのは部署全体の意識付けです。「チェックは原則、データ上で行う」という取り決めは、はじめのうちこそ反発を生むかもしれません。しかし、徹底できれば徐々に効率も改善されていくはずです。
なお、どうしても紙に依存しなくてはならない業務がある場合は、「印刷は最大2枚まで」といった決まりを作るようにしましょう。また、「印刷の際には全ページを刷るのではなく、必ず修正ページのみを指定印刷する」といったルール作りも重要です。
中小企業であればアルバイト化・外注化もおすすめ
経理業務を効率化することは、業務難易度を下げることでもあります。例えば前項でご紹介したクラウド会計サービスを利用すれば、簿記を知り尽くした熟練の経理マンでなくても、大部分の作業が行えるようになるでしょう。こうした取り組みを続けていけば、最終的に簡単な経理業務であればアルバイトに任せられるようになるはずです。社員を雇って育てるといった工程は、コストとお金がかかります。信頼の置ける経理マン、もしくは税理士が1人いれば事足りる状況を作り出すことは、将来的な経費カットにもつながるでしょう。
また、近年はクラウド会計ソフトなどの登場により、以前に比べて外部の税理士事務所とのやり取りもかなりスムーズになってきています。帳簿付けまで任せても、月に数万円というところも少なくありません。コスト以外の部分で考えても、守秘義務が守られることや退職リスクが低減できることなど、メリットは多いはずです。そのため、経理部門の人手が足りないということであれば、外注化の検討もおすすめします。
まとめ
大企業に経理などの間接部門が存在するのは、スケールメリットを生かした経営ができるからに過ぎません。一方、中小企業が間接部門を設けるためには、実はかなりの利益が必要です。一説によれば、企業が経理にかけられるコストは限界利益の2~3%だといわれています。そのため、経理部門の正社員を月収24万円で雇った場合には、それだけで800万円以上の限界利益が必要という計算になるのです。
経理部門の業務効率化を推し進め、人件費を削減し、経費を最小限にすることは多くの企業にとって有益な施策です。ぜひ今回の記事を参考に、自社に合わせた方法をご検討ください。
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