【情シス向け】UPSの選び方|APC vs オムロン徹底比較【2025年版/サーバー用・拠点用】

2025/11/27 業務効率化

企業リスク診断

公開日 2025年11月27日 | 最終更新日 2025年11月27日

情報システム担当者向けに、APCとオムロンのUPSを比較。Back‑UPS/Smart‑UPS/Smart‑UPS Onlineを中心に、出力容量(W)、バッテリー寿命、ランタイム、拡張バッテリー、ネットワーク管理機能など、TCOと運用性の観点から「APCを選ぶべき場面」をわかりやすく解説します。

“いつの間にかバッテリー寿命を超えていた”
“サーバー増設でUPS容量がギリギリ”
“停電でサーバーは守れたが、ネットワークが落ちて業務停止”

といった“あるある”を避けるには、製品ごとの違いをTCO視点で理解したうえで選定する必要があります。

情シスがUPS選びで見るべき4つのポイント

実効容量(W:ワット)

クラスオムロン BNオムロン BL(Li‑ion)APC Smart‑UPS
500VA500VA/450W
・8.5分
500VA/450W
・6分
500VA/360W
・9分(SMT500J)
750VA750VA/680W
・4分
750VA/680W
・5分
750VA/500W
・5分(SMT750J)
1000VA1000VA/900W
・9分
1000VA/900W
・5分
1000VA/670W
・6分(SMT1000J)
1500VA1500VA/1350W
・4.5分
1500VA/980W
・6分(SMT1500J)

カタログに目立つのは「VA」ですが、実際にどれだけ機器を載せられるかを決めるのは W(ワット)。同じ1000VAクラスでも、メーカー・シリーズによってW容量が大きく異なります

バッテリー期待寿命 × 保証年数

バッテリー寿命(3年/5年/10年)と、UPS本体の保証年数(2年/3年/5年)「サーバ更改サイクル(5〜7年)」とどう合わせるかで、TCOが大きく変わります

管理ソフト・インターフェイス

無償か/別売か、USBだけで足りるのか/ネットワークカードが必要か、仮想基盤・NAS・複数サーバのシャットダウンをどう組むか

細かな機能差(特に小型機)

マスターコンセント(PCシャットダウン連動で周辺機器を切る)
LANサージ保護(雷対策)
アラームミュート(夜間の警報音対策)
設置形態(タワー/ラック/床置き両対応)

この4つを軸に、オムロンとAPCの違いを見ていきます。

オムロン vs APC 比較

サーバールーム向け:ラインインタラクティブUPS

(オムロン BN/BLシリーズ vs APC Smart‑UPS)

仮想基盤ホストやファイルサーバ、コアSWなどの中核インフラを守るレンジです。

プロダクトオムロン BNシリーズオムロン BLシリーズAPC Smart‑UPS
(SMT)
運転方式ラインインタラクティブラインインタラクティブラインインタラクティブ
バッテリー鉛蓄電池リチウムイオン鉛蓄電池
バッテリー期待寿命5年(20℃)10年(25℃)多くが 4.5年(25℃)、
一部ラックは2.5年
代表クラスBN50T/75T/100T/

150T/220T/300Tほか

BL50T/75T/100TSMT500J/750J/1000J

/1500Jほか

出力容量(傾向)同VAクラスでW容量が
大きい(高力率設計)
同左同VAクラスでW容量が
やや小さめの機種が多い
充電時間約4時間約8時間約4時間前後
保証期間3年3年2年
管理ソフト無償ダウンロード同左別売
設定フォームタワー/ラック両対応モデルありタワータワー/ラック

W容量の余裕
オムロンBN/BLは力率が高く、同じVAクラスでも載せられるWが大きい設計。1000VAクラスを例に取ると、BN100T(1000VAクラス)はサーバ+NAS+SWをある程度まとめて載せやすいのに対し、同クラスのSmart‑UPSはWが小さめで、1サイズ上を選ばざるを得ない場面が出やすくなります。

バッテリー寿命 × 更改サイクル

BN:5年(20℃)
BL:10年(25℃)
サーバ更改サイクル(5〜7年)と合わせて設計しやすく、BLシリーズなら「更改までバッテリー交換なし」を狙えるのがポイントです。

管理ソフトのコスト
オムロンはBN/BL/ラックモデル含め、電源管理ソフトが無償ダウンロード。
Smart‑UPSは別売ライセンス、仮想基盤や複数台シャットダウンを組むと追加コスト+設定工数が嵩みます。

小型オフィス・拠点向け:常時商用UPS

(オムロン BZ/BY/BW vs APC Back‑UPS/BV/SCL)

支店・営業所などのVPNルータ/スイッチ/小型NAS用レンジです。

プロダクトオムロン BZシリーズオムロン BY/BWシリーズAPC Back‑UPS
(ES/RS/BK)
運転方式常時商用(オフライン)常時商用(BY/BW)常時商用
+一部ラインインタラクティブ
出力波形矩形波正弦波RS/BKは正弦波、
ESは矩形波
バッテリータイプ鉛蓄電池鉛蓄電池鉛蓄電池
バッテリー期待寿命(例)4~5年(20℃)4~5年(20℃)
5年間(25℃)のフィルム
多くが3〜5年(25℃)
代表クラスBZ35LT2/50LT2BY35S/50S/75SW/80S
/100S/120S、BW40T/
55T/100T/120T
ES425/550/750、
RS400/550/1000/1200
出力容量の一例BZ50LT2:
500VA/300W など
BW100T:
1000VA/610W など
BR1000S-JP:
1000VA/600W など
ランタイム(100%負荷の一例)BZ50LT2: 約3分BW100T: 約4.3分BR1000S-JP: 約3分など
管理ソフト無償ダウンロード無償ダウンロードバンドル/別売混在

オムロンBW/BYは、UPS本来の機能(W容量・ランタイム・寿命)に振った作りで、拠点のルータ/NASを確実に守りたい用途に向きます。
APC Back‑UPS(特RS系)は、マスターコンセント・LANサージ保護・アラームミュートなど“かゆいところに手が届く”SOHO〜小規模オフィス向けの多機能モデルが多いのが特徴です。

重要システム向け:常時インバータUPS

(オムロン BUシリーズ vs APC Smart‑UPS Online SRT)

医療・製造・金融など、瞬断すら許されないシステム向けです。

プロジェクトオムロン BUシリーズAPC Smart‑UPS
オンライン SRT
運転方式常時インバータ
(二重変換オンライン)
常時インバータ
(二重変換オンライン)
定格入力電圧100/110/115/120V系、
および200V系モデル
同様に100〜120V系/
200V系モデル
出力容量レンジ500VA〜5kVAクラス1kVA〜5kVAクラス
(SRT1000XLJ〜
SRT5KXLJなど)
バッテリー期待寿命多くが4〜5年(20℃)、
一部「長寿命8年」
多くが5年(25℃)
拡張バッテリー多数のモデルで
拡張パック接続可
多数のモデルで
最大10台まで拡張可
設定フォームタワー/ラック/
床置き対応モデル
タワー/ラックマウント
EMC仕様VCCIクラスAVCCIクラスA
管理ソフト無償ダウンロード別売

どちらも電源品質重視の領域ですが、

オムロン:国内拠点での保守・サポート/無償ソフトを含めて、「医療・FA・社会インフラ等で安定運用したい」用途に強み。

APC:データセンターなどでの採用実績が多く、拡張バッテリーの多段接続(最大10台)で長時間ランタイムを取りやすい構成が可能といった違いがあります。

地味だけど効く「細かい機能差」

(APC RS vs オムロンBW/BY)

マスターコンセント(Master Control Outlet)

機能APC RSオムロン BWオムロン BY
Master Control Outlet××

APC RSは、PCの電源オン/オフに連動して、周辺機器(モニタ・外付けHDD・プリンタなど)への給電を自動制御可能。小規模オフィスで「PCを消してもモニタだけつけっぱなし」が多い環境では、節電+誤操作防止に役立ちます。
オムロンBW/BYはこの機能を持たず、「UPSとしての信頼性重視」の設計と言えます。

LANサージ保護

機能APC RSオムロン BWオムロン BY
LAN Surge Protection×(雷サージのみ)×(雷サージのみ)

APC RSは、1ギガビットLAN回線のサージ保護機能を持つモデルがあり、雷被害の多い地域のSOHO・小規模拠点ではメリット。
オムロンBW/BYも「雷サージ保護」は持ちますが、LAN線まで含めたトータルなサージ対策という意味ではRSが一歩リード。

アラームミュート(Alarm muting)

機能APC RSオムロン BWオムロン BY
Alarm muting××

停電時のビープ音をミュートできるかどうかサーバールームならともかく、オフィスフロアにUPSを置くなら、夜間の誤動作や瞬停時の騒音が問題になるケースもあります。

設置形態(Tower and Floor compatible)

機能APC RSオムロン BWオムロン BY
Tower & Floor compatible×(タワー)×

オムロンBWは、タワーだけでなく床置き設置にも配慮した筐体設計で、狭い拠点やラック外の設置に柔軟に対応
APC RSは基本タワー設置前提

導入・リプレース時に情シスが押さえるべきステップ

  1. 負荷Wと構成パターンの棚卸し
    • 拠点/サーバルーム/DCそれぞれで、
      「ルータ群/単一サーバ/仮想基盤」の構成と消費電力を整理
  2. 必要ランタイムを決める
    • 拠点:5〜10分
    • サーバルーム:5〜15分
    • ミッションクリティカル:15〜60分(拡張バッテリー活用)
      といった目安で、ラインナップから候補を絞り込み
  3. Li‑ionモデルをどこに採用するか決める
    • 多拠点・無人拠点
    • サーバルーム → まずは鉛蓄電池モデル+3〜5年で計画的にバッテリー交換
  4. ネットワーク管理のレイヤを設計
    • どの拠点のUPSまでネットワーク管理カードを入れるか
    • 監視は既存NMSに統合するか、EcoStruxure ITのような専用基盤を使うか
  5. 運用ルールとリプレース計画をドキュメント化
    • バッテリー交換の目安年数(Li‑ion:8〜10年、鉛:4〜5年)
    • 自己診断機能・アラーム設定
    • 拠点新設時のUPS標準スペック

まとめ:オムロン優位ポイントとAPC優位ポイント

APCが優位になりやすい場面

小規模オフィスで、マスターコンセント、LANサージ保護、アラームミュートなど、“便利機能”付きのRS/BR/BVシリーズを活かしたい、データセンターや長時間バックアップ前提で、Smart‑UPS Online + 多段拡張バッテリーで長時間ランタイムを取りたい


オムロンが優位になりやすい場面

同VAクラスでW容量に余裕を持たせたい(BN/BLシリーズ)バッテリー寿命と保証年数を重視し、TCOを下げたい(BN:5年寿命、BL:10年寿命、保証3年)電源管理ソフトを無償で使い、シャットダウン連携のコストを抑えたい国内サポート・長期運用を前提に、「UPSはインフラとして安定していて欲しい」場合

「スポット導入+長寿命バッテリ重視」ならオムロンBN/BLも強い選択肢
「多拠点&将来の拡張を見据えた標準化」なら、APCをベースに検討するのが合理的

 

株式会社ハイパーではシュナイダエレクトリックのUPSをメインに取り扱っております。
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