働き方改革の助成金・補助金とは?テレワーク導入にも活用可!

2020/07/17 働き方改革

テレワーク導入には、ツール・システムの導入やノートパソコンの購入などの費用がかかります。その他にも、働き方改革に向けて設備の導入を検討している方もいるでしょう。
中小企業や少人数で経営している場合、コスト面からテレワークや働き方改革のための対策を行うのが難しいと感じているのではないでしょうか。
そこで今回は、働き方改革の助成金・補助金についてご紹介します。

働き方改革で活用できる助成金・補助金とは?

働き方改革で活用できる助成金・補助金とは?

勤務時間を短縮させるために機械を導入する、テレワーク導入のために設備を整えるなど、労働環境の整備にはコストがかかります。
しかし、中小企業では、働き方改革に対応するためのコストを用意するのが難しいと感じている経営者の方も多いでしょう。
そこで政府は、中小企業に向けて助成金・補助金を設けて、働き改革への取り組みを推進しています。国だけではなく、自治体でも支援をしています。
働き方改革のために、機械や設備の導入を検討されている方は、ぜひ利用を検討しましょう。

厚生労働省による働き方改革のための助成金

働き方改革のための助成金は、厚生労働省で設けられています。

業務改善助成金

中小企業や小規模事業者が、最低賃金を引き上げた場合や、生産性向上のために投資した場合、その費用を助成する制度です。
生産向上のための設備投資(機会設備、POSシステムなどの購入)を行い、事業場内の最低賃金を引き上げた場合に、その設備投資にかかった費用が助成されます。

令和2年度(申請締め切り:令和3年1月29日)

コース区分 引き上げ額 引き上げる労働者数 助成上限額 助成対象事業場 助成率
25円コース 25円以上 1人 25万円 以下の2つの要件を満たす事業場

 

1.事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内

 

2.事業場規模100人以下

 

 

4/5

生産性要件を満たした場合は9/10

2~3人 40万円
4~6人 60万円
7人以上 80万円
30円コース 30円以上 1人 30万円 【最低賃金850円未満】

4/5

生産性要件を満たした場合は9/1

 

【最低賃金850円以上】

3/4

生産性要件を満たした場合は4/5

2~3人 50万円
4~6人 70万円
7人以上 100万円
60円コース 60円以上 1人 60万円
2~3人 90万円
4~6人 150万円
7人以上 230万円
90円コース 90円以上 1人 90万円
2~3人 150万円
4~6人 270万円
7人以上 450万円

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者(有期雇用)の正社員化や、人材育成、処遇改善などを取り組むことで助成される制度です。このキャリアアップ助成金には、7つのコースがあります。
※情報は令和2年4月1日現在のものです

正社員化コース

非正規雇用労働者(有期雇用)を、正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に適用できる制度です。

(1人あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成額【中小企業の場合】 助成額【大企業の場合】
有期→正規 57万円<72万円> 42万7,500円<54万円>
有期→無期 28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>
無期→正規 28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>

賃金規定等改定コース

全てまたは一部の非正規雇用労働者(有期雇用)の基本給の賃金を2%以上増額改定し、昇給させた場合に利用できる制度です。

(対象労働者に応じて1事業所あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

1:全ての賃金規定等を2%以上増額改定
対象労働者数 助成金【中小企業】 助成金【大企業】
1~3人 9万5,000円<12万> 7万1,250円<9万>
4~6人 19万<24万> 14万2,500円<18万>
7~10人 28万5,000円<36万> 19万<24万>
11~100人※1人あたり 2万8,500円<3万6000円> 1万9,000円<2万4,000円>
2:雇用形態別、職種別等の賃金規定等を2%以上増額改定
対象労働者数 助成金【中小企業】 助成金【大企業】
1~3人 4万7,500円<6万> 3万3,250円<4万2,000円>
4~6人 9万5,000円<12万> 7万1,250円<9万>
7~10人 14万2500円<18万> 9万5,000円<12万>
11~100人※1人あたり 1万4,250円<1万8,000円> 9,5000円<1万2,000円>

健康診断制度コース

非正規雇用労働者(有期雇用)を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上に実施した場合に助成されます。

(1事業所あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成金【中小企業】 助成金【大企業】
38万<48万> 28万5,000円<36万>

賃金規定等共通化コース

非正規雇用労働者(有期雇用)と正社員が共通の業務を行っている場合、同じ賃金を支払うなど、共通の賃金規定を新たに規定・適用した場合に助成されるコースです。

(1事業所あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成金【中小企業】 助成金【大企業】
57万<72万> 42万7,500円<54万>
対象となる有期雇用労働者等1人あたり

2万円<2万4,000円>加算

対象となる有期雇用労働者等1人あたり

1万5,000円<1万8,000円>加算

諸手当制度共通化コース

非正規雇用労働者(有期雇用)と正社員で、共通の諸手当制度を新たに規定・適用した場合に助成される制度です。

(1事業所あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成金【中小企業】 助成金【大企業】
38万円<48万円> 28万5,000円<36万円>
対象となる有期雇用労働者等1人あたり

1万5,000円<1万8,000円>

対象となる有期雇用労働者等1人あたり1万

2,000円<1万4,000円>

共通化した諸手当2つ目以降につき1手当あたり

16万円<19万2,000円>

共通化した諸手当2つ目以降につき1手当あたり

12万円<14万4,000円>

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

労使合意に基づき社会保険適用の拡大を行い、非正規雇用労働者(有期雇用)にも、社会保険を適用。それと同時に賃金を引き上げした従業員が500人以下の企業に助成される制度です。

(1事業所あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成金【中小企業】 助成金【大企業】
19万円<24万円> 14万2,500円<18万円>

 

(賃金の増額割合に応じて1人あたり以下の通りの助成額を加算)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

2%~3%未満 1万9,000円<2万4,000円> 1万4,250円<1万8,000円>
3%~5%未満 2万9,000円<3万6,000円> 2万2,000円<2万7,000円>
5%~7%未満 4万7,000円<6万円> 3万6,000円<4万5,000円>
7%~10%未満 6万6,000円<8万3,000円> 5万<6万3,000円>
10%~14%未満 9万4,000円<11万9,000円> 7万1,000円<8万9,000円>
14%以上 13万2,000円<16万6,000円> 9万9,000円<12万5,000円>

 

短時間労働者労働時間延長コース

非正規雇用労働者(有期雇用)の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険を適用した場合に適用される助成金です。

(1人あたり)※<>内の金額は生産性の向上が認められた場合の金額です

助成金【中小企業】 助成金【大企業】
1時間以上2時間未満 4万5,000円<5万7,000円> 3万4,000円<4万3,000円>
2時間以上3時間未満 9万円<11万4,000円> 6万8,000円<8万6,000円>
3時間以上4時間未満 13万5,000円<17万円> 10万1,000円<12万8,000円>
4時間以上5時間未満 18万円<22万7,000円> 13万5,000円<17万円>
5時間以上延長 22万5,000円<28万4,000円> 16万9,000円<21万3,000円>

 

働き方改革推進支援助成金(旧:時間外労働等改善助成金)

時間外労働等改善助成金という名称でしたが、2020年4月からは、働き方改革推進支援助成金に変更されています。
こちらの助成金はコースに分かれていて、労働時間短縮・年休促進支援コース、職場意識改善特例コース、団体推進コース、テレワークコースがあります。

ここでは、「職場意識改善特例コース」と「労働時間短縮・年休促進支援コース」と「団体推進コース」の3つをご紹介します。
※テレワークコースについては次でご紹介します

労働時間短縮・年休促進支援コース

2020年4月から中小企業に時間外労働の上限規制が適用されます。
この助成金制度は、生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援するものです。

【支給対象となる中小企業事業主】
1.労働者災害補償保険の適用事業主であること
2.交付申請時点で、成果目標1から4までの設定に向けた条件を満たしていること
3.全ての対象事業場において、交付申請時点または支給申請時点で36協定が締結・届け出がされていること
4.全ての対象事業場において、交付申請時点で年5日の年次有給休暇の取得に向けて、就業規制等を整備していること
※中小事業主は(※1)に該当する企業になります。

【支給対象となる取り組み】
1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知・啓発
3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4.就業規則・労使協定などの作成・変更
5.人材確保に向けた取り組み
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.労務管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9.テレワーク用通信機器の導入・更新
10.労働能率の増進に資する

【成果目標の設定】
1.全ての対象事業場において、令和2年度または令和3年度内において有効な36協定について、時間外労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長
2.全ての対象事業場において、週休2日制の導入に向けて、所定休日を1日から4日以上増加させ、規定後1カ月間においてその実績があること
3.全ての対象事業場において、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
4.全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること

上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間あたりの賃金額の引き上げを3%以上行うことを成果目標に加えることが可能です。

【支給額】
成果目標の達成に向けて取り組んだ場合に、支給対象となる取り組みの実施に要した経費が支給されます。
以下のいずれか低い方の金額が適用されます。
1.成果目標の1~4の上限額および賃金加算額の合計額
2.対象経費の合計額×補助率3/4

1の上限額
・成果目標1の上限額

事業実施後に設定する時間外労働時間数等 事業実施前の設定時間数
現に有効な36協定において、時間外労働時間数等が月80時間を超える時間外労働時間数を設定している事業場 現に有効な36協定において時間外労働時間数で月60時間を超える時間外労働を設定している事業場
時間外労働時間数で月60時間以下に設定 100万円 50万円
時間外労働時間数で月60時間を超え、月80時間以下に設定 50万円

・成果目標2の上限額
所定休日3日以上増加:50万円
所定休日1~2日増加:25万円

・成果目標3、4の達成時の上限額
50万円

【申請期限】
2020年11月30日(月)まで(必着)

職場意識改善特例コース

新型コロナウイルスの感染防止対策として、病気休暇制度や、子供の休校・休園に関する特別休暇制度を整備し、社員が安心して休暇を取れる環境が大切です。
特別休暇制度の整備し、特別休暇制度の取得促進に向けて、環境を整備している中小企業事業主を支援する制度です。

【支給対象となる事業主】
・労働者災害補償保険の適用事業主であること
・(※1)に該当すること

【支給対象となる取り組み】
1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知・告発
3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4.就業規則等の作成・変更
5.人材確保に向けた取り組み
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.労務管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9.テレワーク用通信機器の導入・更新
10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
※研修には、業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

【支給額】
取り組みの実施に要した費用の一部支給。
1.対象経費の合計額×補助率(3/4)※
2.企業あたりの上限額(50万円)

※常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取り組みで6~10を実施する場合、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

【申請締め切り・事業実施期間】
申請締め切り:2020年7月29日まで
※延長しています
事業実施期間:2020年2月17日~2020年7月31日までに取り組みを実施

団体推進コース

中小企業主の団体やその連合団体が、団体に加入している事業主の労働条件の改善のために、時間外労働の削減、賃金の引き上げなどに向けた取り組みを行った場合、その団体に助成を行う制度です。

【支給対象となる事業主団体】
1.事業主団体
2.共同事業主

【支給対象となる取り組み】
1.市場調査の事業
2.新ビジネスモデルの開発、実験事業
3.材料費、水光熱費、在庫などの費用低減実験(労働費用を除く)の事業
4.下請取引適正化へ理解促進など、労働時間などの設定の改善に向けた取引先との調整事業
5.販路の拡大などの実現を図るための展示会開催および出展の事業
6.好事例の収集、普及啓発の事業
7.セミナーの開催等の事業

【成果目標の設定】
支給対象となる取り組みについて、事業主団体等が事業実施計画で定める時間外労働の削減または賃金上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の1/2以上に対してその取り組み、または取り組み結果を活用すること。

【支給額】
成果目標の達成に向けて取り組んだ場合に、支給対象となる取り組みの実施に要した経費が支給されます。
以下のいずれか低い方の金額が適用されます。
1.対象経費の合計
2.総事業費から収入額を控除した金額
3.上限額500万円

【申請期限】
2020年11月30日(月)まで(必着)

(※1)中小企業事業主とは、下記に該当する企業のことです。

業種 A.資本または出資額 B.常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

東京都による働き方改革のための助成金

働き方改革による助成金は、厚生労働省からだけではなく、各自治体でも制度を設けている場合があります。

東京都は「TOKYO働き方改革宣言企業」を設けて、働き方改革を推進しています。この制度の1つに助成金制度があります。
計画期間中に助成要件を満たした場合、助成金が支給されます。金額は1制度の利用について10万円、1企業あたり最大で40万円です。

助成要件

・働き方の改善

制度の名称 計画期間 助成条件
フレックス制度  

 

計画期間は3カ月~12カ月

 

 

月1回以上、従前の始業・終業時間と異なる出退勤をされている
短時間勤務制度 連続2カ月以上、短時間勤務をしている
テレワーク制度 連続2カ月以上、かつ4回以上の利用がある
在宅勤務制度
勤務間インターバル制度 インターバル時間が運用され、利用者がいる
時差出勤制度 制度が運用され、全体照射に制度が利用されていること
週休3日制度

・休み方の改善

制度の名称 計画期間 助成条件
業務繁閑に応じた休業日の設定 12カ月 制度が運用され、利用者がいる
年次有給休暇の計画的付与制度
記念日等有給休暇制度 3カ月~12カ月
時間単位での年次有給休暇制度
連続休暇制度
リフレッシュ等休暇制度
柔軟に取得できる夏季休暇制度

テレワーク導入で活用できる助成金・補助金は?

テレワーク導入で活用できる助成金・補助金は?

働き方改革の1つとして、テレワークでの働き方が普及しています。テレワークは、ICTを活用してオフィスから離れた場所で働くことです。
テレワーク導入により活用できる助成金、補助金があります。

厚生労働省のテレワーク助成金・補助金

令和2年度 働き方改革推進助成金(テレワークコース)

テレワーク導入のために、テレワーク用通信機器の導入や運用、就業規則・労使協定等の作成や変更、労務管理担当者に対する研修などに取り組むことで、助成金が支給されます。

【対象経費】
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等の購入費、委託費
※契約形態がリース契約、ライセンス契約、サービス利用契約などで、評価期間を超える契約の場合は試験機関にかかる経費のみが対象です。

【助成額】
対象経費の合計額×補助率
※ただし上限額あり

【上限額について】

成果目標の達成状況 達成 未達成
補助率 3/4 1/2
1人あたりの上限 40万円 20万円
1企業あたりの上限 300万円 200万円

※1人あたり上限額×対象労働者数または1企業あたりの上限のいずれが低い方が適用

【申請期限】
2020年12月1日(火)まで

東京都のテレワーク助成金・補助金

テレワーク導入のための助成金についても、各自治体で助成金・補助金制度を設けている場合があります。
ここでは、東京しごと財団が行っている東京都の助成金についてご紹介します。

はじめてテレワーク(テレワーク導入推進整備補助金)

東京都のワークスタイル変革コンサルティングを受けた企業などにテレワークをトライアルするための職場構築経費及び制度設備費を補助する制度です。

【補助金対象事業者】
1.東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けていること
2.都内に勤務している常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6カ月以上継続して雇用していること
3.就業規則にテレワークに関する規定がないこと
4.東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること

【補助対象費用】
テレワーク環境の構築:在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境構築にかかる費用

【補助金上限額】
従業員数300人~999人の企業:110万円
従業員数100人~299人の企業:70万円
従業員数100人未満:40万円
※いずれも制度整備費10万円を含む

【申請期限】
2021年3月31日(水)まで

まとめ

今回は、働き方改革により支給される助成金・補助金について、ご紹介しました。
働き方改革による助成金は、基本的に厚生労働省が行っています。他にも、各自治体が独自で行っていることも。東京都では、テレワーク導入の助成金も行っているため、チェックしておくと良いでしょう。