働き方改革とは?働き方改革についておさらいしよう!

2024/07/22 働き方改革

企業リスク診断

2019年の4月より、働き方改革の関連法案が順次施行されはじめています。働き方改革についてはメディアなどでも取り上げられることが多いため、ほとんどの方がご存じでしょう。

今後、企業は働き方改革が実現できるように努めなければなりません。正しく働き方改革を理解するために、今一度おさらいをしておきましょう。そこで今回は、働き方改革についてご紹介します。

働き方改革とは?

働き方改革とは?
働き方改革とは、多様な働き方が選択できる社会を実現するために作られた重要政策のことです。2018年6月に働き方改革関連法が可決・成立し、2019年4月から働き方改革に関する規定が次々と施行されています。

働き方改革は、日本が抱える労働についての問題や環境作りなど社内レベルの問題まで、働き方について問題解決することが目的です。

働き方改革が導入された背景

働き方改革が導入されたのには、いくつか理由があります。ここでは、働き方が見直された問題についてご紹介していきます。

働き手の減少

少子高齢化が影響し、労働の主体ともいえる生産年齢人口の減少が問題化しています。年々減ってきていて、このままいけば今までの半分程度になると予測されています。生産年齢人口が減るということは働き手が不足するということです。働き手が不足してしまえば、経済危機に陥ったり、私たちの生活に影響が出たりします。

働きたい人が誰でも働ける環境にするために、働き方改革が導入されました。

長時間労働による健康リスク問題

これまで、日本では残業をして長時間労働することが、評価されている部分がありました。

しかし、長時間労働は、過労死につながることもあり、健康リスクが考えられます。これは諸外国からも指摘されていることで、2013年に国連から「多くの労働者が長時間労働に従事していること」「過労死が発生し続けていること」を是正するように勧告を出されました。

労働生産性の改善

労働生産性とは、1人あたりが生み出す成果・1時間あたりで生み出される成果のことです。日本は、他の先進国と比較すると労働生産性が低いといわれています。このまま、労働生産性が伸びなければ、人手不足により苦しむことになるでしょう。

働き方改革により、労働生産性を向上させることが求められています。

働き方改革関連法について

働き方改革関連法について
働き方改革において、労働基準法など労働に関する法律が改正・作成されています。すでに施行されている法律もあります。おさらいしながら、確認しておきましょう。

時間外労働の上限規制

「働きすぎ」による過労死を防止するために決められている規制です。時間外勤務は、週45時間かつ年360時間以内と定められています。罰則付きのため、規制に違反すると罰則を受けます。

また、時間外労働をする場合は、36協定の締結と所轄労働基準監督署への届け出が必要です。

【適応開始時期】
大企業:2019年4月より施行
中小企業:2020年4月より施行

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナルの設定は、特定高度専門業務を対象とした制度です。

特定高度専門業務とは、職務の範囲が明確で、一定の収入要件(1,000万以上)を満たした高度な専門知識を必要とする業務のこと。これらの条件を満たしている労働者には、勤務時間ではなく、「成果型労働性」が導入されます。

【適応開始時期】
全企業:2019年4月より施行

フレックス制度の見直し

今までのフレックス制度では、1カ月で清算しなければなりませんでした。この場合、労働時間を1カ月以内で調整しなければならず、業種によってはフレックス制度のメリットを活用できなったこともあるでしょう。

この制度が見直され、清算期間が3カ月になりました。月をまたいだ労働時間の調整ができるので、フレックスのメリットを多いに感じ取れるでしょう。

【適応開始時期】
全企業:2019年4月より施行

有給休暇の取得を義務化

年次有給休暇を年間10日以上付与される社員は、必ず5日は有給休暇取得が義務化されています。

【適応開始時期】
全企業:2019年4月より施行

勤務間インターバル制度の努力義務

2019年4月より勤務間インターバル制度の努力義務が定められました。

これは、疲れをためてしまわないように、終業後から次の始業時間まで少なくとも10時間または11時間といった、休む時間の確保の努力義務が設けられています。

【適応開始時期】
全企業:2019年4月より施行

「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止

月の残業時間が60時間を超えた場合、割増賃金の割増率を50%しなければならない義務があります。

中小企業の場合、この適応が難しい場合もあるため、猶予が認められていました。

とはいえ、猶予措置をしていると働き方改革が進まないことから、2023年4月より猶予措置が廃止されます。

産業医の機能を強化

ストレスや長時間労働による過労を防ぐために、産業医による面接指導などを実施し、機能を強化されます。そのために産業医から企業に対する勧告手続きの整備や、企業から産業医へ必要な情報を提供しなければなりません。

【適応開始時期】
全企業:2019年4月より施行

「同一労働・同一賃金の原則」の適用

同一労働・同一賃金の原則は、正規雇用と非正規雇用の格差をなくすために作られた法律です。アルバイト・パートに限らず、正社員と同じ業務をしている場合は、正社員と同じ賃金・福利厚生を適用しなければなりません。

【適応開始時期】
大企業:2020年4月より施行
中小企業:2021年4月より施行

働き方改革って何をすればいいの?具体例

働き方改革って何をすればいいの?具体例
働き方改革に向けてどのようなことを取り組めばいいのか、具体的に不明に思う方もいらっしゃるでしょう。ここでは、働き方改革の具体的な取り組み例をご紹介します。

ちょっとしたことでも働き方改革につながることがあります。ぜひ、参考にしてください。

1.勤怠管理を厳重に行う

労働時間をきっちり把握し、管理する必要があります。長時間労働防止への取り組みは、国連から是正勧告されていることもあり、最も重要な部分といえます。

時間外労働の上限規制や、労働時間を客観的に把握するなどが必要です。

これまで、タイムカードやエクセルで勤怠管理をしていたという企業も多いのではないでしょうか。

しかし、タイムカードやエクセルでの勤怠管理は、締め日になるまで労働時間の合計が把握できないことがあります。結果として、規定の労働時間を超えてしまうことも考えられるでしょう。

そこでおすすめなのが、勤怠管理システムです。リアルタイムで自動集計されるため、正確な勤怠管理を随時確認することができます。規定の勤務時間を超えるとアラートが出るので、働きすぎを防止することが可能です。

2.年次有給休暇の取得を推進

年次有給休暇の取得率は、低い状態が続いています。休んでしまうことへのためらいからから、取得率が低いと考えられています。有給休暇を取得するために、自ら希望をしなければならないのがネックになっているのかもしれません。

そこで働き方改革関連法では、会社側から時季を設定します。もちろん、労働者側に希望があればそれに沿う必要があります。

先ほどご紹介した、勤怠管理システムでは、休暇申請を行うことも可能です。社員の休暇状況を把握できるので、有給休暇を取得していない社員に知らせることができます。

時間外労働の規制と、年次有給休暇の取得義務は、違反すると罰則を受ける可能性があります。勤怠管理システムを導入することで、適切に管理することができますので、ぜひ利用を検討してみてください。

3.同一労働同一賃金

同じ仕事をしていても、正規雇用と非正規雇用の方で、賃金や待遇に格差があることもありました。雇用形態による格差をなくすため、2020年4月より同一労働同一賃金の改正法が執行されています。

この改正法では、同じ業務をしている場合、雇用形態に関わらず同等の賃金や福利厚生を受けるべきとされている法律です。パートやアルバイトでも、社員と同じ業務をこなしていれば基本給や時間外手当、賞与などを受ける権利があります。

4.テレワーク・在宅勤務の導入

テレワークや在宅勤務は、時間や働く場所にとらわれずに働くことが可能です。多様な働き方への対応ができるため、導入が推奨されています。

また、時間や場所を問わずに働けるため、育児や介護をしている方でも働きやすくなります。

柔軟な働き方を取り入れることで、働きたくても働けない人が働けるようになり、働き手を増やすことができます。

大手菓子メーカーがオフィスで働く社員に対してテレワークを原則化させました。業務に支障がなければ単身赴任も廃止し、家族と同居できるよう働き方を変えていくと発表しています。

5.ペーパーレス化

会議が長い、基本的に資料は紙で作成という場合は、ペーパーレス化から初めてみるのも1つの手段です。特にほとんどの資料や書類が紙であるという場合は、検討した方が良いでしょう。

全ての書類をペーパーレスにする必要はありませんが、情報共有のための資料などは、紙ではなくても問題ないことがほとんどです。印刷する時間や収納する場所を確保しなくて良くなるので効率化につながります。

6.テレビ会議の導入

会議のために支店間を移動したり、出張したりしていませんか?移動や出張には時間がかかります。打ち合わせのみであれば、テレビ会議でも十分できる可能性があります。

7.フレックスタイム制度の導入

フレックスタイムとは、始業時間や就業時間などを柔軟に変更できる制度のことです。決められた総労働時間内であれば、自分で時間を配分することができます。

総労働時間内であれば、自分で働く時間を決められるのでプライベートとの両立も可能です。テレワーク同様に、育児や介護を行っている方でも比較的安心して働ける制度です。

まとめ

今回は、働き方改革についておさらいしていきました。

中小企業でも関係なく、法整備が進んでいます。働き方改革では、特に労働時間の管理や、正規雇用と非正規雇用の格差をなくすことが重要視されています。

まずは、勤怠管理から行うことが働き方改革の1歩といえるかもしれません。

働き方改革のために機器費用などが発生した場合、助成金が発生することがあります。条件を確認して、利用するのも1つの手です。

 

 

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