休日の業務連絡はNG「つながらない権利」について
2024/05/24 働き方改革ここ最近、「つながらない権利」という言葉をよく目にするようになりました。
テレワークを導入する企業が増加してきたことから、休日の業務連絡はNGとする「つながらない権利」に注目が集まってきているのです。
そこで今回は「つながらない権利」について、権利を守るための対策方法や導入事例をご紹介します。
テレワークにより業務時間外の連絡が増えている?
近年、テレワークを実施する企業が増えてきました。自宅で作業することで感染症予防対策としてだけではなく、通勤時間がなくなり満員電車に乗らなくて良いなどのメリットがあります。
しかし、メリットだけではなく、課題も出てきました。例えば、家だと仕事とプライベートの区別がつきにくく、勤務時間外にもメールや電話でのやり取りをしてしまっているケースが挙げられます。
勤務時間外の連絡が増えれば増えるほど、ストレスを感じてしまう方もいるでしょう。その結果、モチベーションの低下や健康に影響が出てしまうことも想定できます。緊急性が高い場合を除いて、勤務時間外の連絡は抑えたいところです。
オフを邪魔しない「つながらない権利」とは
勤務時間外・休日も業務連絡…この問題から掲げられはじめたのが「つながらない権利」です。
つながらない権利とは、労働者が勤務時間外・休日に仕事のメール・電話対応を拒否できる権利のこと。2017年にフランスで労働改正の一環として施行されたのが始まりです。その影響から、他の国でも導入されはじめました。
日本では、法整備はされていないものの、独自で導入している企業もあります。また、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」には、休日の連絡は控えるよう呼びかけられています。
つながらない権利を導入するメリット
つながらない権利については、企業で意識したい部分です。というのも、緊急性のない勤務時間外の連絡は社員にとってはデメリットにつながる恐れがあるからです。ここでは、つながらない権利を導入するメリットについてご紹介します。
社員の休みの質の向上につながる
まず、メリットとして、社員の休みの質の向上が挙げられます。
勤務時間外の夜間や休みの日も業務に関する連絡をやり取りしていると、心も体もリフレッシュしにくくなります。やり取りの内容によっては、業務への対応もしなければならず、休みなのに休めない…というケースもあるでしょう。返信しなくては、というプレッシャーがストレスになってしまうことも。
勤務時間外の連絡を控えることで、社員は夜間・休みの日も、業務連絡を気にしなくて良くなるため休みの質の向上につながります。オンとオフを分けやすくなり、リフレッシュしやすくなるのです。
休みの質が向上し、きちんと休むことで、モチベーションの維持や、生産性の向上につながることも考えられます。
リモハラの防止につながる
次に、パワハラの1種でもあるリモートハラスメント(リモハラ)の防止のメリットが挙げられます。
業務時間外の連絡で、緊急性がないのにも関わらず対処を求めれば、長時間労働の助長につながります。その行為が度を過ぎてしまえば、リモハラを引き起こす可能性があります。
企業は、ハラスメントを防ぐための雇用管理上の措置を講じることが義務付けられています。
そのため、企業としてもトラブルを防ぐために「つながらない権利」の導入が必要といえるでしょう。
つながらない権利を守るための対策
時間外の連絡を防ぐには、呼びかけも大切ですが、他にもいくつか対策をすると良いでしょう。つながらない権利を守るための対策についてご紹介します。
休暇・勤務時間を共有できるようにする
自分は勤務中でも相手が勤務時間外で気づかずに連絡してしまったということもあるでしょう。特にテレワークでオフィスに出社していないと、他の社員の出社状況を把握することができません。
時短勤務をされている方や、有給休暇を取得している方、これらを全員が把握するためにはスケジュールを共有することが大切です。スケジュールツールの活用や事前に共有しておくように呼びかけると良いでしょう。
緊急事態の連絡方法は事前に通知する
休日・時間外でも対応しなければならない緊急事態が発生することもあるかもしれません。
やむを得ず、対応しなければならない場合、例外として連絡を可能とするとしてルールを設けるのも良いでしょう。ルールについては、明確にしておくことが大切です。
また、時間外でも業務の対応をしなければならない場合、テレワークであっても勤務時間外手当や休日出勤手当が発生します。
勤怠管理を行う
勤務時間外も業務対応しなければならない場合、その分の賃金が発生します。勤務時間外(残業)の労働についても把握するため、適切な勤怠管理が必要です。そこでおすすめなのが、勤怠管理システムです。テレワークでも打刻ができるシステムや、休暇申請ができるものもあります。勤怠管理をExcelなどで行っているという場合は、勤怠管理専用のツール導入を検討しましょう。
ルールを周知する
特別な理由を除いて、時間外の連絡はしないというルールは、社内で共有しておくことが大切です。長期休暇に入る前は、改めて休暇中の連絡は控えるよう呼びかけるのも良いでしょう。
勤務時間外に連絡しなくても良い仕組みにする
勤務時間外に連絡する理由として担当者だけしか対応できない、時間外労働が多い、制度が見合っていないなどの問題を抱えている可能性があります。担当者以外も対応できるよう情報共有をこまめに行う、業務効率化を手助けしてくれるツールの導入検討を行うようにしましょう。
つながらない権利を導入した企業の事例
すでに、つながらない権利を導入している企業があります。ここでは、つながらない権利を導入している企業の事例をご紹介します。
企業Aの事例
ある企業では、長期休暇中に社内から送られたメールについては、自動で削除したり受信拒否することができるシステムを導入。もともとこの企業では、業務時間外にも頻繁に業務連絡をしていたことが問題だとされていました。そこで、時間外のコミュニケーションツール利用の制限をしたり、このようなシステムを導入しはじめたのです。
企業Bの事例
ある企業では、グループ会社で、夜10時以降の連絡と休日の社内メールについては原則禁止としました。これは管理職や役員も対象に。時間外や休日は仕事を忘れてリラックスしたほうが勤務時間中の業務効率が上がるとして導入しました。
まとめ
今回は、つながらない権利についてご紹介しました。
テレワークやクラウドツールなどの導入により、休日でも業務連絡をする機会が増えてきてしまっているのではないでしょうか。
休日連絡を見直すことは、社員一人ひとりが質の高い休暇を確保し、生産性アップやモチベーションの維持につなげるためにも必要です。つながらない権利の導入を検討してみてください。
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