SaaSサービスってなに? 業界・業種別活用事例と導入に向いている企業
2020/03/17 SaaS
近年インターネット経由でさまざまサービスを利用できるSaaSの普及が広がっています。
Google、Salesforceなど海外の先進企業から国内の企業まで、多くの事業者がSaaSサービスを提供しています。
また、業界や業種、企業規模を問わず、導入企業は新しいITテクノロジーの活用によって、業務効率や生産性の向上を図っています。適用する分野も、メールやスケジュールなどの管理から、営業・顧客管理、人事労務、販売管理など多方面に活用されています。
ここでは、SaaSについての基本事項を解説するとともに導入することで得られるメリットなども見ていきます。どのような業界や業種でSaaSが活用され、いかなる効果を得ているのかもご紹介します。また合わせて、SaaSの導入に適している企業についても取り上げます。
SaaSとはどんなサービス?
SaaSは、Software as a Serviceの頭文字を取ったもので、「サース」または「サーズ」と読みます。近年は濁らないサースのほうが主流になりつつあります。
SaaSとは、インターネット経由で必要な機能を必要な分だけ利用できるサービス(ソフトウエア)のことです。Google App、Salesforce、Dropbox、Evernoteなどに代表される「クラウド」サービスも、SaaSの一種です。
従来、ソフトウエアを利用するときはパッケージソフトのインストールが普通でした。そうした場合、ユーザーにとって必要のないアプリケーションもパソコンにインストールされてしまうなどのデメリットがありました。それがSaaSによって、各サービスをより柔軟に使えるようになりました。
このSaaSを活用することで、「柔軟性」のほかにも、ビジネスシーンにおいてさまざまなメリットを享受できます。
SaaSはソフトウエアをユーザー側に導入するのではなく、事業者のサーバーで稼働させます。そのため、オンプレミス(自社運用)でシステムを構築する場合に比べて、「初期投資」の費用を格段に抑えることができます。
また、導入までの「スピード」もメリットの1つに挙げられます。業務でソフトウエアを使う場合には、企業ごとに少なからずカスタマイズすることになります。この場合もオンプレミスでゼロからシステムを構築するよりも、SaaSを活用したほうがスピーディーにサービスの導入が実現できます。
さらに、システムの運用・管理の「手間」も削減できます。サーバーやソフトウエアの管理に割く人員を軽減できるためコストダウンも見込めます。ソフトウエアのバージョンアップや機能追加なども事業者側が行うため、常に最新の状態でサービスを利用できるのもSaaSの強みと言えるでしょう。
SaaSサービスの多くはライセンス発行によって、使用できる人数や権限の付与が行われます。そのため、ある業務にどれだけの人員が必要か、初期の段階では見通しが立てづらい場合でも、その時々で柔軟にライセンスの増減が可能です。こうした特徴は、大きな予算を取りづらい中小・中堅規模の事業者にとっては大きなメリットになるでしょう。
業界・業種別に見るSaaSの活用事例
柔軟性や導入スピード、コスト面などの優位性から、近年さまざまな業界・業種で、企業規模を問わず、SaaSの導入が進んでいます。ここでは、いくつかの活用事例を見ていきましょう。
流通業
流通業においては、多数の顧客情報管理や取引先各社とのデータ連携が必要不可欠です。多くの小売店では、さまざまなチャネルを通して顧客や取引先からの注文を受けます。電話、メール、店舗はもちろん、WebサイトやEDIなど多種多様です。EDIは、企業間や業界間で標準化を進めている一方で、いまだに多数のデータが使われており、自社システムへのデータの落とし込みに課題を抱えています。また出荷業務においても配送業者との間で、正確かつスピーディーなデータ連携が必要になっています。
こうした複雑かつ多くのデータ交換が必要な流通業においては、自社でシステムを構築すると多大な労力やコストがかかります。そうしたケースでは、CRM(顧客関係管理)やEDIなどのシステムをSaaSで構築することで、コスト削減はもちろんのこと業務効率やスピード、生産性を高めることができます。
製造業
製造業においては、生産量を管理するためにSaaSを活用している企業が多数あります。メーカーは、販売予測や発注予測を立て、在庫状況を勘案しつつ生産量を計算します。その際には、消費者動向を読んだ販売予測、取引先企業からの発注予測、自社工場の生産能力・稼働状況・在庫状況などをシームレスにつなぐ情報共有システムの構築が必須となります
また、生産を計画的に進めるためには、多数の生産工場におけるスケジュール管理も必要になります。こうした複雑なシステムも、SaaSを活用することで、大きな効果を発揮します。サービス提供者によっては、導入企業との綿密な打ち合わせにより、各企業のニーズをくみ取った柔軟なシステム構築を行ってくれます。
営業職
SaaSによる営業支援システム(SFA)の導入で効果を上げている企業も多数あります。SFAは、営業パーソンのスケジュール、活動状況、進捗状況、営業確度を管理することで営業の効率化や生産性向上を図ります。
重点的に営業すべき企業はどこなのか、部下はどの点で壁にぶつかっているのかなどもSFAによって把握できます。これに加えて顧客情報と連携させることで、より一層営業力の強化が見込めます。そうした一連のシステムを要望に応じて柔軟にシステム構築できるのもSaaSの特徴です。
さらに、システムの導入によって「見える化」を推進することで、効率性や生産性のほかにも、各営業パーソンに自律心が芽生えて、さらに売上増が実現された事例などもあります。
営業パーソンの増員や削減にあわせてライセンスの増減が可能なのも、導入ハードルを下げる要因でしょう。
SaaSの導入に向いている企業
これまで見てきたように、SaaSは初期投資が比較的安価であり、専任のIT担当者が不要なこともあり、中小・中堅企業が導入しやすいサービスと言えます。ライセンスの増減も柔軟で、毎月のコストも安く抑えられるので、新たな設備投資や従業員の増員をしづらい組織にとっては最適と言えるでしょう。
SaaSによって業務効率のアップや生産性の向上などが期待できるので、例えば、「スケジュール管理」「メール機能」「文書管理」「Webサイト構築・運用」「顧客データ管理」「営業支援」「財務管理」「労務管理」など、多くの企業で共通の課題となっている業務について、SaaSによるシステム導入が効果を発揮するでしょう。
近年は、人材不足などを理由に高度なIT技術を有する人材の確保が難しくなっています。自社でサーバーの保守・管理をするための人材がいなかったり、少ない人員に負荷がかかり過ぎたりして、コスト面や運用面で非効率になってしまうケースもあるでしょう。そうした場合、SaaSを利用することで運用などをすべて外部に任せることで負担を軽減できます。
また、自社内で重要な顧客情報を管理している企業にも、SaaSの導入は適していると言えるでしょう。SaaSを提供している企業は、堅固なセキュリティ対策によって情報を管理しています。最先端のセキュリティ対策を行っている外部サーバーのほうが、自社管理よりも情報流出のリスクを軽減できるはずです。
社外での活動が多い従業員を抱えている企業も、SaaS導入のメリットを享受しやすいでしょう。例えば、従来、営業パーソンは夕方になって、営業日報を書くためだけに会社に戻るという非効率的な業務が発生しがちでした。無駄な時間によって残業時間が増大し、生産性も下がっていました。インターネット経由でスマートフォンなどのモバイルを使ってSFAから業務日報を更新することで、そうした無駄を削減できるようになりました。
こうした点に加えて、大きな災害によるデータ損失や業務が止まってしまうことで大きな損失を抱えてしまうような企業にとっても、SaaSの導入は効果的でしょう。
まとめ
インターネット経由で、必要な機能を必要なだけ利用できるSaaSは、中小・中堅企業にとって魅力的なサービスでしょう。
初期費用が抑えられ、スピーディーな導入を実現できるのもメリットの一つです。またサーバー運用・保守を外部に任せられるのでIT人材が不足している企業にとってもSaaS導入の効果は大きいと言えるでしょう。
業務効率や生産性向上を目指す企業にあって、「メール」や「スケジュール管理」、「文書管理」など、汎用的な業務においてSaaSを導入することから始めるのが最も効果的と言えます。
多くの企業が、災害対策やセキュリティ対策の必要性を感じています。顧客情報や取引先情報など重要なデータを自社で管理するリスクが高まっている中、SaaSを利用することで、そうしたリスクや課題の解決が期待できます。
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