サイバー攻撃から会社を守る! ペネトレーションテスト vs 脆弱性診断 セキュリティ診断 どちらを選ぶべき?
2025/06/23 セキュリティ対策公開日 2025年6月15日 | 最終更新日 2025年6月23日
システムに 脆弱性 が存在すると情報漏洩などのリスクが大幅に高まるため、事前対策として「 ペネトレーションテスト 」と「 脆弱性診断 」 セキュリティ診断 実施が重要になります。
近年、社内システムや業務アプリケーションでWebアプリケーションを採用する企業が急増しており、それに伴いセキュリティリスクも高まっています。サイバー攻撃を受けて機密情報が漏洩すれば、企業の信頼失墜や多額の損害賠償といった深刻な被害につながりかねません。
「うちの会社は小規模だから狙われないだろう」と考えるのは危険です。攻撃者にとって企業規模は重要ではありません。むしろ、セキュリティ対策が手薄になりがちな中小企業こそ、格好のターゲットとなっているのが現実です。
今回は、これらの手法について詳しく解説していきます。
ペネトレーションテストと脆弱性診断の基本
どちらもセキュリティ対策の重要な手法ですが、ペネトレーションテストと脆弱性診断では、アプローチ方法と目的が大きく異なります。
ペネトレーションテスト (ペンテスト)
目的:「実際の攻撃者であれば、どこまで侵入できるか?」を実証的に検証
方法:ホワイトハッカーによるシステムへの疑似侵入
特徴:特定の脆弱性や問題点を深掘りして調査
調査範囲:検証シナリオに応じて対象が変動
脆弱性診断 (セキュリティ診断)
目的:「システム全体にどのような弱点が存在するか?」を網羅的に洗い出し
方法:専用ツールを用いた既知脆弱性の特定
特徴:システム全体を体系的に確認
調査範囲:対象システム全体を広範囲にカバー
ペンテストでは、実際のサイバー攻撃者が使用する手法に基づいて、ホワイトハッカーがシステムに侵入を試み、サイバー攻撃に対する耐性を検証します。脆弱性診断とは異なり、脆弱性を網羅的に発見することが目的ではなく、攻撃者が明確な目的を持って侵入した場合に、その目的が達成される可能性があるかを実証的に調べることに重点を置いています。
基本的な実施フロー
目的・範囲設定:疑似攻撃の目的と対象システムの範囲を明確に定義
疑似攻撃実行:設定されたシナリオに基づく実際の侵入テスト
結果記録・分析:取得したログデータと侵入経路の詳細な記録・分析
2つの分類方法
対象システムによる分類
内部ペネトレーションテスト
攻撃者がすでに内部システムに侵入済みであることを前提とした検証です。以下のようなシナリオが想定されます:
攻撃者による認証情報(ID・パスワード)の窃取
悪意を持つ内部関係者の存在
マルウェア感染による内部ネットワークへの侵入
外部ペネトレーションテスト
標的型メール攻撃などを通じて、完全な外部からシステムにどこまで侵入可能かを検証します。
情報開示レベルによる分類
ホワイトボックス型:対象システムの詳細情報を事前に検証者に提供する方式
ブラックボックス型:システム情報を一切提供せず、攻撃者と同等の条件で実施する方式
脆弱性診断によるシステムの包括的健康診断
システムに脆弱性が存在すると、攻撃者がその弱点を突いて機密情報を窃取したり、システムを誤動作させたりする可能性があります。このような攻撃を未然に防ぐため、システムの脆弱性を網羅的に調査するのが脆弱性診断です。
1. アプリケーション診断
Webアプリケーションの入力フォームにおける入出力値の処理や、ユーザー認証機能などを対象とします。SQLインジェクションやなりすまし攻撃など、システム停止や情報漏洩につながる脆弱性を特定します。
2. プラットフォーム診断
Webアプリケーションを実行するサーバー、ミドルウェア、OS、ネットワーク機器などのインフラ層を対象とし、各コンポーネントの脆弱性検出と設定状況を確認します。
検査手法の特徴
手動診断:サイバーセキュリティ専門家による直接的なシステム検査
ツール診断:脆弱性診断専用ツールを活用した自動化検査
Webアプリケーションの主要脅威
IPA(情報処理推進機構)の「安全なウェブサイトの作り方 改訂第7版」では、Webアプリケーションにおける11の重要な脆弱性について対策実装を求めています。
特に重要な脅威の詳細
1. SQLインジェクション
ユーザーからの入力データをデータベース命令文(SQL)に組み込む際の処理に問題があると、攻撃者による不正なデータベース操作が可能になります。機密情報の窃取や改ざんに直結する深刻な脆弱性です。
2. OSコマンド・インジェクション
Webアプリケーションに悪意のある入力を行うことで、Webサーバー上で想定外のOSコマンドを実行させる攻撃です。システム全体の制御を奪われる可能性があります。
3. パス名パラメータの未チェック/ディレクトリ・トラバーサル
ファイル名の指定処理に不備があると、外部から公開予定のないファイルへのアクセスを許してしまう可能性があります。
4. セッション管理の不備
ログイン認証情報の管理に問題があると、攻撃者による不正ログインを許してしまいます。
5. クロスサイト・スクリプティング(XSS)
ユーザーの入力内容をWebページに出力する際の処理に問題があると、悪意のあるスクリプトを埋め込まれる可能性があります。
6. CSRF(クロスサイト・リクエスト・フォージェリ)
外部サイトを経由した悪意のあるリクエストを適切に検証せずに受け入れてしまう脆弱性です。
7. HTTPヘッダ・インジェクション
HTTPレスポンスのヘッダー部分に任意の内容を追加・改ざんされる攻撃を受ける可能性があります。
8. メールヘッダ・インジェクション
メール送信機能において、外部から送信先アドレスを自由に指定できてしまう脆弱性です。
9. クリックジャッキング
巧妙に細工された外部サイトにおいて、利用者が意図しない操作を実行させられる攻撃手法です。
10. バッファオーバーフロー
プログラムが確保したメモリ領域を超過することで、意図しないプログラムコードが実行される可能性があります。
11. アクセス制御・認可制御の欠如
適切な権限管理が実装されていない場合、不正なデータアクセスや機能実行を許してしまいます。
実用的な診断ツールの選択
専門業者による検査か診断ツールの活用か機密性の高い情報を扱う業種(金融、医療、インフラなど)では専門家による手動検査が推奨されますが、一般的な業務であれば診断ツールによる検査でも十分な効果を期待できます。
ImmuniWeb:AI活用の高度診断プラットフォーム
ImmuniWebは、機械学習・RPA技術を応用したAI駆動型の脆弱性診断プラットフォームです。世界での導入実績は約4,000万件を超える信頼性の高いソリューションです。
特徴
・イスラエル式高度セキュリティトレーニングを修了した専門家による診断
・AIツールと人的専門知識を融合した高精度診断
・国内外の各種セキュリティガイドラインに完全準拠
対応ガイドライン
日本国内では内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)をはじめ、経済産業省(METI)、情報処理推進機構(IPA)、金融情報システムセンター(FISC)などの各機関ガイドラインに対応しています。
VAddy:手軽に始められるクラウド型診断ツール
VAddyは、セキュリティ専門知識を持たない担当者でも簡単に利用できるクラウド型脆弱性診断ツールです。専用ソフトウェアのインストールは不要で、Webブラウザからサインアップ後、スキャンボタンをクリックするだけで診断を開始できます。
特徴
・脆弱性修正後の自動再スキャン機能
・診断結果のチャットツール連携通知
・1週間の無料トライアル期間
プラン構成
・Professional(月額19,800円):SQLインジェクションなど基本5項目の診断
・Enterprise(月額59,800円):11項目の包括的診断
・Advanced(月額99,800円):IPAガイドライン完全準拠の17項目詳細診断
実装戦略と継続的運用
サイバー攻撃手法の多様化と被害拡大を受けて、ペネトレーションテストや脆弱性診断は最低でも年1回の定期実施が強く推奨されています。
これらの検査には高度なセキュリティ専門知識が必要なため、多くの企業では専門業者への委託が現実的な選択となります。ただし、委託する側も一定のセキュリティ知識を保有することが重要です。
効果的な委託のための準備
検証を専門業者に委託する際には、以下の情報提供と準備が不可欠です
提供すべき技術情報
・システム設計書
・ソースコード
・既存の脅威分析結果
・ネットワーク構成図
明確化すべき要件
・検証の目的と目標設定
・ペネトレーションテストと脆弱性診断の適切な選択
・期待する成果物の定義
基本対策の継続的実施
Webアプリケーションの開発ベンダーは常時脆弱性対策を実施しており、新たな脅威が発見された際には迅速にセキュリティパッチを提供します。
利用者側が最優先で実施すべき対策は以下の通りです
・アプリケーションソフトウェアの最新版への定期更新
・認証情報(ID・パスワード)の適切な管理
・セキュリティパッチの迅速な適用
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まとめ
Webアプリケーションには多様な脆弱性リスクが内在しています。機密性の高い情報を保有する企業では専門家による詳細診断が推奨されますが、専門知識を持たない組織でも活用可能なクラウド型診断ツールが充実してきています。
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