2022年1月に改正する「電子帳簿保存法」とは?罰則はあるの?

2021/11/26 未分類

ペーパーレス化に向けて、書類を電子データで保存しようと検討している企業も多いかもしれません。実は、全てのデータを電子データで保管できるわけではありません。電子帳簿保存法といった法律も設けられていて、電子化にはルールが設けられているケースもあります。

この記事では、電子帳簿保存法が一体どのようなものなのか見ていきましょう。ペーパーレス化への促進にあたり、ぜひ参考にしてください。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは
国税関係帳簿書類を電子データで保存することを認めている法律を「電子帳簿保存法」といいます。決済関係の書類を全てまたは一部だけ電子での保存が認められているということです。ただし、認められている保存方法と対象の書類があります。

認められている電子保存方法とは

電子帳簿法で認められている電子保存方法は主に3つです。

電子データでの保存

各書類をパソコンで作成し、印刷せずそのままサーバーやCD-ROMなど、電子データで保存する方法です。また、メールなどで受領した請求書等のデータも保存することができます。

紙データをスキャンして保存

スキャナーを利用して、紙の書類をスキャンしてデータに変換して保存する方法です。

現在はスキャナーだけではなく、スマートフォンで撮影した写真をデータとして保存することも認められています。

マイクロフィルム(COM)での保存

データをパソコンで作成し、電子計算出力マイクロフィルムでの保存を認められています。

電子計算出力マイクロフィルムは、写真フィルムのこと。データを写真フィルムで保管する方法ですが、利用している企業は少ないでしょう。

電子帳簿保存法対象の書類

【国税関係の帳簿:総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳 など】

国税関係の帳簿は、紙データをスキャンして電子データでの保存が認められていますなお、スキャンしての保存は認められていません。

【決算関係書類:貸借対照表・損益計算書 など】

こちらも国税関係の帳簿と同様で、決算関係書類も電子データでの保存のみ可能です。スキャンしての保存は認められていません。

【取引関係の書類:見積書・発注書・請求書・契約書・領収書 など】

取引関係の書類は、スキャナーによる保存はもちろん、電子データでの保存も認められています。

【電子取引:電子契約データ・メールのデータ・EDI取引 など】

電子取引は、電子データでの保存が認められています。なお、2022年1月から改正案が施行され、紙での保存はできず必ず電子保存しなければならないと決められています。

電子帳簿への対応には「タイムスタンプ」が必要

電子帳簿へ対応するには、タイムスタンプが必要です。タイムスタンプは、刻印されている時間よりも前にデータが存在していたことや、その時間以降はデータが改ざんされていないことを証明するサービスのこと。時刻認証局が発行していることから、信頼性の高いサービスとして認識されています。

タイムスタンプは、電子データで心配なデータの改ざんを防止、確実に存在している書類としての証明となります。電子データだけで保管する場合は、タイムスタンプが必要となるため、タイムスタンプに対応したシステムを導入する必要があります。

電子帳簿保存法の手続き

電子帳簿保存法の手続き
電子帳簿保存法に定められている書類を保存する場合、管轄する税務署にて承認申請を行わなければなりません。申請の手続きは下記の通りです。

申請に必要なもの

承認申請書と添付書類が必要です。承認申請書は、承認を受けたい帳簿の種類・根拠となる税法・開始日・使用する電子計算機概要・使用するプログラムなどを記載します。

添付書類は、プログラムの概要や操作マニュアルなど、申請の内容に応じて添付します。

申請は税務署へ

書類が全てそろったら、所轄の税務署長宛に申請を行います。申請に対しての手数料はかかりません。申請から承認まで時間がかかることもあるため、余裕を持って申請するようにしましょう。

申請の前に準備しておきたいこと

電子保存する書類を決める

個別に申請が必要です。まずは、電子保存する書類を決めておきます。一気にやってしまうと混乱してしまうため、優先度の高い書類から申請すると良いでしょう。

電子保存へと移行する日を決める

承認申請を行った日で適用開始日が変わってきます。基本的に、適用開始日の3カ月前に申請を行わなければなりません。1月1日から適用開始させる場合、9月30日前までには申請を行う必要があります。申請から移行日までは余裕のあるスケジュールを組めるように、準備することが大切です。

使用する端末の台数を把握する

申請の際には、使用する電子計算機の概要を記載しなければなりません。これには、利用するパソコンやプリンターなどの機種や台数を書きます。そのため、事前に使用する端末を把握しておくようにしておきましょう。

使用するシステムの決定

書類を作成・保存するシステムの概要についても申請します。そのため、必ず申請前に使用するシステム(会計ソフトやタイムスタンプが利用できるソフトなど)を導入するようにしましょう。また、マニュアルなども申請書に添付する必要があるため、用意しておきましょう。

電子帳簿保存法を守らなかったときの罰則はある?

電子帳簿保存法を守らなかったときの罰則はある?
電子帳簿保存法の違反と認められた場合、罰則はあるのでしょうか。その答えは「ある」です。ここでは、電子帳簿法で違反と判断されるケースや罰則についてご紹介します。

違反となるケース

法で決められた保存条件や保存期間が守られていない場合は、違反と判断される場合があります。ここでは、その詳細をご紹介します。

データの保存条件を満たしていない場合

スキャン保存をする場合、解像度が387画素以上を満たしていないと違反と認められるケースがあります。また、書類は24ビットカラー以上で保管しないとならないため、スマートフォンなどで撮影する際は注意が必要です。

なお、一般書類はモノクロカラーでの保存が認められています。

他にもタイムスタンプがない、記載に不備があるなどといった場合は電子データとして認められないことがあるため、違反となるケースがあります。

保存期間が規定通りになっていない

電子データや原本には保存期間が定められています。保存期間が規定通りになっていない場合は、違反と判断されることも。

電子帳簿保存法を守らなかったときの罰則内容

・青色申告の承認が取り消しになる
・追徴課税・推計課税が科せられる
・会社法により過料が科せられる

違反と判断されれば、上記のような罰則が科せられる可能性があります。罰金を支払うケースもあるため、注意しなければなりません。

違反してしまわないよう、システムの導入やガイドラインの制定をきちんと行いましょう。そして、従業員に電子帳簿保存法について法律の内容や社内ルールなどを共有しておくことが大切です。

2022年1月から改正案が適用される

電子帳簿保存法は、2022年1月に改正案が適用されます。事前承認が不要になったり、タイムスタンプの要件が緩和したりなど、改正されます。

その改正の内容やポイントについては、資料を提供しています。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

資料ダウンロードページはこちら

まとめ

今回は、電子帳簿保存法についてご紹介しました。

電子帳簿保存法は、ペーパーレス化を行う際は、必ず確認しておきたい法律です。なお、電子帳簿を利用する際は、最寄りの税務署に申請を行う必要があります。システムや端末を用意し、要件を満たしているかどうか確認の上で、申請を行うようにしましょう。